CT検査ってどんな検査?事前の食事や被ばくの心配、詳しく解説します!

CT検査とは

身体の状況を知るために、さまざまな検査方法があります。血液で内臓の異常がないか確認する血液検査、外からでは見えない胃や腸の状態を知る内視鏡検査などさまざまです。

数ある検査のうち、見えない部分を見えるようにする技術が、これまでどれだけの命を救ってきたのかと思うと、私たち人間の寿命と技術の進化には深い関りがあることに気付きます。

今回は、私たちの身体を映し出す「CT検査」について詳しくお伝えしていきます。

 

CT検査とは?

CT検査とはComputed Tomographyの頭文字を取ったもので、コンピュータ断層診断装置と訳されます。X線を用いて身体の断面画像を撮影し、従来のX線写真では捉えきれない細かい内部構造を、輪切り状の画像として詳細に観察する検査がCT検査です。

CT検査は、脳卒中や腫瘍、骨折、内臓の異常など、幅広い疾患の診断に活用されます。

CT検査には造影剤を使わない「単純CT検査」と造影剤を使って血液の流れなどから多くの情報を得る「造影CT検査」があります。

単純CT検査は頭部、胸部、骨折などに適しているとされ、造影CT検査は腫瘍や血管などの部位に適しているとされます。

 

なぜ体内が映るの?

CT検査が体内を映し出すことができる理由は、X線の透過性とコンピュータ処理の組み合わせです。

X線は体を通過する際、骨や臓器などの組織によって異なる程度で吸収されます。この吸収の違いをデータとしてコンピュータが捉えることで、組織の密度の差を画像として表現できます。

CT装置では、X線管が体の周囲を回転し多方向からX線を照射して「輪切り」にした断面図を構成します。

 

CT検査とMRI検査はどう違う?

CT検査とMRI検査は、2つとも体内を画像化する医療技術ですが、原理や特徴が大きく異なります。

CT検査はX線を使用して体内の断面画像を撮影します。身体を透過したX線の吸収の量を解析しコンピュータで画像を構築する仕組みです。撮影時間が短く、骨と空気をはっきりと区別できるという特徴があります。

MRI検査は磁場と電磁波を用いて、その磁気共鳴によって体内を画像化する技術です。高周波の磁場により起こる水素原子の共鳴現象で発生する電波で体内を画像化します。磁気共鳴ですので、金属が体内にある場合適していないとされています。

 

CT検査でわかる可能性が高い疾患

CT検査は、精密な画像診断ができるため、体で起こっているさまざまな病気の発見に高い期待ができるとされます。

たとえば、脳の CT検査では脳出血や脳梗塞、腫瘍、外傷による損傷などの診断が可能です。頭部CTは脳や頭蓋骨の状態をX線で検査し、出血性の病気や頭部の外傷などを確認することが可能。

CT検査はその検査時間の速さが特徴でもあり、交通事故や転倒などの頭部外傷時には、早急に骨折や内出血の有無を確認する必要があるためCT検査が用いられることが多いとされます。

 

胸部では肺炎や肺がん、肺気腫、胸膜炎、血栓による肺塞栓症、心臓や大動脈の異常など細かなものまで発見できる可能性が高く、腹部では肝臓がん、胆石症、膵炎、腎結石、腸閉塞など、腹部に起こるがんやさまざまな疾患を詳しく調べることができます。

CTは短時間で広範囲を撮影できるため、がんの転移や進行状況の確認、外傷性疾患のスクリーニングにも重宝されています。

このように、CT検査は迅速さが求められる疾患に向いていますので、日頃から定期的に自分自身の身体の状況を知ることが大切です。

定期健診で健康リスクを最小限に抑えられる可能性は高いと言えますので、ぜひ定期的な身体のチェックはしておいてください。

定期健診や人間ドックでわかることの詳細はこちらのコラムで解説しています。ぜひ合わせてお読みください。

健康診断の項目は削らない方が良い?人間ドックとの違いも合わせて徹底解説!

 

 

CT検査を受けるときの注意点

CT検査を受ける際、X線を使用することで被ばくの心配をする方も多いのではないでしょうか。他にも、食事をしてよいのか、CT検査を受けられない人はいるのかなどの疑問も考えられます。

ここからは、CT検査を受けるときに浮かびやすい疑問と注意点について解説していきます。

 

造影剤について

造影剤は、画像診断で体内の構造や病変をより明確に描出するために使用される薬剤です。

CT検査では、ヨードを主成分とした「ヨード造影剤」が用いられます。血管や臓器、腫瘍などにコントラストが付き、がんの診断や血管の狭窄、出血の有無を確認するのに役立ちます。

 

造影剤に副作用はある?

造影剤注入後、一時的に身体が熱く感じる場合もありますが、すぐに消滅するため問題はないとのこと。

ただしヨード造影剤で副作用がゼロということではありません。稀に副作用症状が生じることがあるされます。しかしその多くは軽度で一時的とされています。

主な副作用反応として、吐き気や嘔吐、かゆみ、じんましんといったもの、一部の人では、発疹や顔の腫れ、熱感といった中等度の反応が見られることもあります。

これまでに造影剤で副作用の症状が出たり、気管支喘息や心臓・肝臓・腎臓に障害を持っている人、糖尿病の薬を飲んでいる人などは、事前に医師に相談することが良いとされていますので、CT検査の前に確認をしましょう。

重い副作用の反応としては、呼吸困難や意識障害といった反応が皆無ではないとされており、少しでも体調に異変がでたら即座に担当技師に知らせることが大事です。

 

CT検査を受けた後の注意点

CT検査を受けた後はとくに注意事項はありません。日常どおり、入浴、食事、運動といった活動をして問題ないとのことです。

造影剤を使ったCT検査をした場合、早く造影剤を体外に出すために水分を多めにとると良いでしょう。

 

CT検査を受けられない人はいる?なぜ受けられない?

妊婦は、胎児がX線に被ばくする可能性があるため、緊急を要する場合を除き、CT検査は避けられることがあります。造影検査は胎児が受けるリスクは小さいとされていますが、事前に妊娠がわかっている場合や、妊娠の可能性がある場合は妊娠検査及び可能性があるその旨を申し出ます。

また、造影剤を使ったCT検査を受ける場合、先述のとおりヨードアレルギーがある人や、過去に造影剤で重篤な副作用を経験した人は申し出することが大切です。

他、取り外しのできない金属が身体の中にある場合、心臓ペースメーカーを使用している場合、腹部・骨盤部のCT検査の場合を受ける人でバリウム検査を1週間以内に受けた場合など、CT検査を受けられない場合があります。詳しくは受診する医療機関に状態を相談するようにしてください。

 

CT検査の前に食べても良い?

CT検査の前は一般的に数時間の絶食を求められます。受診する医療機関によって2時間と記載されている場合もあれば、4時間とされている場合もあるので、実際にCT検査を受ける医療機関に問い合わせるようにしましょう。

固形物は接種しないように求められますが、水やお茶などの無糖の飲み物は摂取が許可される場合もあります。体調を良好に保つため、指定された時間内でしっかりと食事をとり、検査前の指示を守るよう心がけましょう。疑問点があれば、医療スタッフに確認すると安心です。

 

服薬は大丈夫?

CT検査の際に普段服用している薬を飲んで良いかどうかは、薬の種類や検査内容によります。たとえば糖尿病治療薬は造影剤との相性が悪いもの物があるとされます。

服薬しているものがある場合、医師や医療スタッフに検査前の問診時にすべて伝えることが大切です。また、薬の服用タイミングについて不安がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。

処方薬だけでなく、サプリメントや市販薬も含めて申告することで、より安全な検査が受けられます。

 

撮影中は息を止めるの?

CT検査の撮影中には、息を止める必要がある場合があります。特に胸部や腹部のCT検査では、呼吸による臓器の動きを抑えるため、検査技師が「息を吸って止めてください」と指示を出すことが一般的です。

息を止める時間は20秒程度とされており、息を止めるタイミングや指示は検査機器から自動音声で案内される場合もあります。

 

授乳中でも大丈夫?

CT検査は授乳中でも基本的に問題ありません。ただし、造影剤を使用する場合は注意が必要です。

CT検査で用いられる造影剤(ヨード造影剤)は、微量が母乳中に移行する可能性がありますが、赤ちゃんへの影響は極めて低いとされています。

そのため、多くの医療機関では通常の授乳を続けても安全としています。ただし、心配な場合は検査後24時間程度は粉ミルクなどで対応する方法を選び、安心を最優先させるのも良いでしょう。

事前に医師や放射線技師に授乳中であることを伝え、造影剤使用の有無や対応方法について相談してください。

また、造影剤を使用しない単純CTの場合は、授乳に影響はありませんので安心して検査を受けられます。適切な情報を得ること、些細な事であっても医療機関に相談して、安心して検査に臨むことが大切です。

 

CT検査で被ばくしませんか?

医療目的であっても放射線を身体に受けることで被ばくしないのか不安になる方も少なくありません。CT検査による被ばく量は、人体に有害な影響を及ぼす可能性が極めて低いとされています。

また、CT検査で受ける放射線量とがんの因果関係は科学的に証明されていないとのことですので、過度に不安になることは不要でしょう。

医師は、患者にとって検査の必要性とリスクを慎重に比較検討した上でCT検査を提案します。そのため、検査が行われる場合は、得られる診断情報が被ばくによるリスクを大きく上回ると判断されていることが一般的です。

また、最新のCT機器では、被ばく量を最小限に抑える技術が導入されています。

もし被ばくが心配な場合は、医師や放射線技師に具体的な被ばく量やリスクについて相談してください。適切な説明を受けることで、不安を軽減し安心して検査を受けられるでしょう。

 

妊娠中の被ばくと胎児のリスクについて

妊婦がCT検査を受けた際の被ばくの影響については、放射線量と胎児の発育段階によって異なります。

先述のとおり、CT検査による被ばくは微量であり、胎児に重大な影響を及ぼす可能性は低いとされています。腹部CT検査において胎児が受ける放射線量の平均は8.0mGy(グレイ)とされており、これは妊娠に気付かず腹部CT検査を受けたとしても妊娠中絶は必要のない量であると解説がされています。

 

また、CT検査における胎児胃被ばく線量と、出生前死亡・奇形・精神発達遅滞のリスクが、自然発生率を上回ることもないと解説がされています。

しかし妊娠初期(受精から15週目まで)に放射線の影響を受けやすいことは注意喚起がされています。この期間に高線量の放射線を受けると、先天異常や流産のリスクが増加する可能性があるとのこと。

ただ「脳や神経系の発達に影響が出る可能性がある」注意喚起がある一方で、通常のCT検査ではこうした高リスクに繋がるほどの放射線量を受けることはほとんどありません。

どういうことかと言うと、高リスクに繋がるほどの放射線量を受ける検査は、骨盤部で4回以上、上腹部で12回以上が目安となる被ばく線量とのことですので、通常であれば心配する必要はないでしょう。

もちろん、不安が先行するのであれば、医師や放射線技師に妊娠の可能性を事前に伝え、代替検査(超音波やMRI)など、十分に相談して不安要素を無くしておくことが大切です。

 

どんな検査も相談して不安を取り除くことが大切!

CT検査は迅速に体内で何が起こっているのかを発見するとても有効な検査方法です。それでも、被ばくや何等かの影響が身体に出ないか不安を持つこともあるでしょう。

少しでも不安や心配がある場合は、医師に相談することを躊躇わないことが大切です。

そして身体の状態は、普段から気にかけておようにしましょう。「少し様子を見てみよう」が取返しのつかないことにならないように、定期健診もしっかり受けてください。

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