健康診断の総まとめ!費用や前日の過ごし方、健康的に過ごす秘訣を徹底解説!

Healthの文字

健康診断は、従業員の健康状態を把握し、労働環境の安全性を確保するために企業が実施する重要な取り組みです。

これまで、健康診断の大切さ、身体と心の大切さ、食事の大切さなど、さまざまな視点から健康についてお届けしてまいりました。

今回は、健康診断に関する主要なポイントをまとめてお届けいたします。

気になる内容がありましたら、ぜひ関連記事も合わせてお読みください。

 

健康診断の種類と法定項目

健康診断は大きくわけて「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。

一般的な会社員で、年に一度行われる健康診断は「一般健康診断」の「定期健康診断」にあたります。

健康診断はそれぞれ対象者や検査項目が定められています。

 

雇入れ時の健康診断

新たに雇用する従業員が対象で、11項目の検査が必要です。

<検査項目一覧>

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状や他覚症状の有無
③ 身長・体重・腹囲・視力・聴力
④ 胸部エックス線
⑤ 血圧
⑥ 貧血
⑦ 肝機能
⑧ 血中脂質
⑨ 血糖
⑩ 尿
⑪ 心電図

この全ての項目において省略することなく受けることが必要です。

対象

雇入れ時の健康診断は、正社員採用の従業員だけが対象ではありません。該当としては

  •  雇用期間の定めのない人
  • 雇用期間の定めがあり、契約期間が1年以上の人、あるいは契約更新により1年以上引き続き使用される人
  • 1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上の者

となっていますので、アルバイトやパートも含むことを押さえておきましょう。

 

転職先で健康診断書の提出を求められた場合

就職先や転職先が決まると、雇い入れ時健康診断および定期健康診断の代替えとして、健康診断書の提出を求められる場合があります。

健康診断書の発行にかかる価格は受診する医療機関と内容によって異なります。一般的には数千円程度が目安とされており、企業や団体の指定フォーマットがある場合は、事前に確認して持参することが必要です。

医療機関によっては即日発行ができる場合もありますが、数日かかる場合や再検査が必要な場合は即日発行が難しいため、提出の締切に余裕を持って受診するようにしましょう。

 

定期健康診断

常時使用する従業員に対して年1回実施され、雇入れ時と同様の検査項目が基本ですが、医師の判断で一部省略が可能です。

<検査項目一覧>

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状や他覚症状の有無
③ 身長・体重・腹囲・視力・聴力
④ 胸部エックス線および喀痰検査
⑤ 血圧
⑥ 貧血
⑦ 肝機能
⑧ 血中脂質
⑨ 血糖
⑩ 尿
⑪ 心電図

 

役員は健康診断実施義務の対象?

会社役員の場合、健康診断実施義務の対象となる役員とそうでない場合があるとご存知でしたでしょうか。これは定期健康診断実施の定義「常時使用する従業員に対して」が鍵となっています。

労働安全衛生法では、健康診断の実施義務は「労働者」に対して規定されており、会社役員は労働者ではなく法人の一部としてみなされるため、この法律の適用範囲に含まれません。

ただし、会社役員であっても実際には従業員として働いている場合、わかりやすくご説明すると工場長や部長、支店長といった場合は「労働者性」として認識されるため、健康管理の観点から役員にも定期的な健康診断の実施対象となります。

 

健康診断で会社が負担する料金について

健康診断にかかる料金についてですが、労働安全衛生法では従業員に義務付けられる定期健康診断の費用は、原則として会社が全額負担する必要があります。これは、従業員の健康管理が労働環境の維持や業務効率の向上に直接関わるためです。ただし、オプションの検査や医師の診断書発行費用など、法定外の内容については従業員が自己負担する場合もあります。

会社が契約している健康診断機関や実施内容によって費用は異なりますが、一般的な定期健康診断の費用は1人あたり5,000円から10,000円程度が目安です。

企業側は健診費用を事前に確認し、負担額を明確にすることが重要です。定期健康診断におけるご質問・ご相談など、お気軽に弊社にお問合せください。

お問い合せはこちらから

 

健康診断を自費で受けると?

健康診断は保険適用外ですので個人で受ける場合は保険適応外となります。健康保険制度が基本的に「病気やケガの治療」を目的とし、健康診断は病気の予防や早期発見を目的とした検査であるため治療行為ではありません。そのため、原則として公的な健康保険の対象にはならないのです。

健康診断の結果、異常が発見され治療や精密検査が必要と判断された場合、その後の医療行為については健康保険の対象となります。

 

特定業務従事者の健康診断

有害業務に従事する労働者が対象で、6か月ごとに定期健康診断と同様の項目を検査します。

6項目において、医師の判断により年2回のうち1度は省略が可能とされています。
以下検査項目一覧で☆印が付いているものが省略可能な項目ですのでご確認ください。

<検査項目一覧>

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状や他覚症状の有無
③ 身長・体重・腹囲・視力・聴力
④ 胸部エックス線および喀痰検査 ☆ 
⑤ 血圧
⑥ 貧血 ☆
⑦ 肝機能 ☆
⑧ 血中脂質 ☆
⑨ 血糖 ☆
⑩ 尿
⑪ 心電図 ☆

 

労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる対象業務の一覧

  •  多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  • 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  • ラジウム放射線、X線その他有害な放射線にさらされる業務
  • 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  • 異常気圧下における業務
  • 削岩機、びょう打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
  • 重量物の取扱い等重激な業務
  • ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  • 坑内における業務
  • 深夜業を含む業務
  • 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これに準ずる有害物を取り扱う業務
  • 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気または粉じんを発散する場所における業務
  • 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
  • その他厚生労働大臣が定める業務

 

海外派遣労働者の健康診断

海外に6か月以上派遣される労働者が対象で、派遣前と帰国後に特定の検査を行います。

必須受診は16項目中11項目です。
以下検査項目で☆印のある5項目においては医師が必要と判断した場合にのみ実施がされます。

<検査項目一覧>

① 既往歴及び業務歴の調査
② 自覚症状や他覚症状の有無
③ 身長・体重・腹囲・視力・聴力
④ 胸部エックス線および喀痰検査 
⑤ 血圧
⑥ 貧血 
⑦ 肝機能 
⑧ 血中脂質 
⑨ 血糖 
⑩ 尿
⑪ 心電図 
⑫ 腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査) ☆
⑬ 血中尿酸値 ☆
⑭ B型肝炎ウイルス抗体検査 ☆
⑮ 血液型(派遣前に限る) ☆
⑯ 糞便塗抹の検査(帰国時に限る) ☆

給食従業員の検便

給食業務に従事する労働者が対象で、雇用時や配置換え時に検便を実施します。

 

健康診断についてさらに詳細を知りたい場合はこちらをご覧ください。

健康診断の項目は削らない方が良い?人間ドックとの違いも合わせて徹底解説!

よくわかる健康診断検査項目の種類別一覧! 定期健康診断の実施時期と対象も解説します

定期健康診断は企業の義務? 対象となる従業員の範囲や種類をわかりやすく解説

 

 

健康診断の再検査について

健康診断の結果、異常が見つかった場合、再検査が必要となることがあります。再検査の指示があった場合は、速やかに医療機関を受診し、詳細な検査や適切な対応を受けることが重要です。

健康診断の再検査や精密検査の受診時期は健康診断の結果報告書の所見欄などに記載されています。

再検査の時期は3ヶ月後または6ヶ月後に受診を設定している医療機関が多いようです。病気かどうかを判断する大切な検査ですので、先延ばしにせずに速やかに受診しましょう。

病気が見つかったとしても、早期発見であればあるほど身体への負担も経済的な負担も少なくなります。

また、通常の健康診断には保健は適用されませんが、再検査や精密検査の場合は保険が適応されます。

再検査になった場合の費用は基本的に受診者が負担しますが、福利厚生の一環として再検査や精密検査にかかる費用も会社負担になる場合があります。再検査の通知を受けた場合は職場に問い合わせてみましょう。 

また、二次健康診断と健康指導を無料で受けられる「二次健康診断等給付」という制度もあります。こちらについては対象者が定められていますので、詳しくはお住まいの都道府県の労働局へお問い合わせ下さい。

 

総合病院や大学病院などで再検査を受ける場合は健康診断を受けた医療機関からの紹介状が必要になります。また、紹介状の発行手数料や検査の必要に応じて画像データの発行手数料などがかかるため、負担額が増えるでしょう。

 

受ける場所や診療科

主に次の3つの場所で受診する事が可能です。

 

健康診断を受けた医療施設

健康診断を受けた医療機関では検査データやカルテがあるため再検査や精密検査などの

二次検査がスムーズに行えます。また、初診料や紹介状の費用もかからないなどのメリットがあります。

 

かかりつけ医

かかりつけ医が再検査に対応していれば紹介状は不要で、健康診断の結果を持参する事で再検査を受ける事が可能です。かかりつけ医ではなく近くのクリニックで再検査を希望する場合は初診料が発生しますが紹介状は不要です。再検査の結果を持参しましょう。

 

総合病院や大学病院

総合病院や大学病院といった規模の大きな病院で再検査を受ける場合は健康診断を受けた医療機関からの紹介状が必要となります。先ほども書いた通り、紹介状無しで大学病院にかかると、診察料の他に初診料などが発生しますので、自身の負担が大きくなります。

 

健康診断の再検査や精密検査を受ける事になった場合はCTやMRIなどの専門的は機械を使用したり、内視鏡検査などの時間のかかる検査になる場合があります。事前に受診を希望する医療機関へ問い合わせをしておくと安心です。

 

かかる診療科の目安をまとめましたので、参考にして下さい。

 

【血圧】

内科、循環器内科

 

【血糖】

内科、糖尿病内科

 

【脂質】

内科、消化器内科

 

【貧血】

内科、血液内科

 

【肝機能】

内科、消化器内科

 

【尿検査】

内科、腎臓内科、糖尿病内科

 

【胸部x線検査】

内科、呼吸器内科

 

【心電図検査】

循環器内科

 

健康診断に「疲れ」は影響する?

健康診断の結果には、疲れが影響する可能性があります。特に慢性的な疲労は、体のさまざまな機能に悪影響を及ぼします。

たとえば、睡眠不足や過労によってホルモンバランスが乱れると、血糖値やコレステロール値が異常を示すことがあります。

また、疲労は免疫機能の低下を招き、白血球数の変化や炎症反応が見られる場合もあるうえに、そこにストレスが加わると血圧の上昇や、心拍数の増加など、健康診断の項目によっては影響を与える可能性を否定できません。

一時的な疲れであれば、診断の前に十分な休息をとることで改善できる場合もありますが、慢性的な疲れは健康全般に影響を及ぼし、結果に大きく反映されることがありますので、心身ともに健やかな日々を目指しましょう。

 

健康診断の結果が思わしくなかった場合の今後の生活への活かし方

健康診断の結果は、去年よりも良くなっているか、変化無しか、悪化しているかのどれかに該当するでしょう。もし昨年よりも悪くなっている項目が見つかれば、落ち込んでしまうのも無理はありません。しかし、何も行動しなければ体は良くならないばかりか来年の検査値にも響いてしまいます。この段階で良いアクションを起こせば検査結果が改善する可能性が高くなると言えます。過去のデータと比較し、検査値が悪化した原因を探ってみましょう。

 

体重

健康への第一歩はなんといっても第一に体重を適正な値にし、それを保つ事です。脳血管疾患や心筋梗塞などの健康障害は、元をたどればBMIや腹囲を指摘された時に改善できていれば防げる可能性が高いのです。

例えば体重が明らかに増加した場合、通勤で歩く時間が減った、階段を使わなくなった、趣味にランニングを始めたが梅雨に入り辞めてしまった、子どものお弁当を作らなくてよくなったので自分も外食が増えたなど、生活週間を振り返ると体重が増えた原因が把握でき、対策も立てやすくなります。

体重が1㎏減れば腹囲が1㎝減ると言われています。内臓脂肪の減少は様々な検査値の改善に繋がりますので、減量をする場合は1ヶ月に1㎏減を目標にしてみましょう。

 

血糖値

生きて行く上でエネルギー源となるブドウ糖は全身の細胞に供給されるため血液中の濃度はほぼ一定に保たれています。ブドウ糖の血中濃度が高くなると、上がり過ぎた血糖値を下げるためにインスリンの分泌が高まり、肝臓や筋肉、脂肪細胞などに送り込んで貯え、血糖の上昇を抑えています。

 

また、血糖値を調べる時にヘモグロビンA1という値を見た事はありますか?

 

これはブドウ糖がタンパク質とくっつく性質を利用して行う検査で、過去1〜3ヶ月の血糖値を反映しています。

インスリンの効きが悪くなると糖尿病に進展しますが、糖尿病が悪化すると糖尿病網膜症で失明したり糖尿病神経障害で足が壊死したりと、将来のQOLに大きなダメージを与えてしまいます。

血糖値を上げすぎない工夫は、炭水化物や砂糖、甘いジュースやお菓子を単体で食べない事です。血糖値が高めの方は、血糖値の上昇を抑える効果が期待できる野菜や海藻類、キノコ類などの食物繊維が十分に摂れてるか毎日確認してみましょう。また、食後は歩くなど、体を動かす事でも血糖値の上昇を抑制する事ができますので実践してみてはいかがでしょうか。

 

血圧

自覚症状が全く無くても、高血圧は命に関わる病気です。

高血圧の原因は塩分を摂りすぎる事のみだと思っていませんか? 

高血圧の3大原因は

 

①ストレスや遺伝による心臓の拍出力の増強

②動脈硬化による末梢血管の抵抗

③塩分過多や肥満による血液量の増加

 

と考えられています。

 

循環血液量が増えるタイプの高血圧はメタボリックシンドロームの人に多いと言われています。減塩する事で血中のナトリウム濃度をコントロールして血液量を減らして血圧を下げる効果が期待できます。 

また、心臓の拍出量が増えたり末梢血管の抵抗が強くなるタイプの高血圧は若い頃から血圧が高い人やイライラしやすい人に多いという特徴があり、減塩が効きにくいと言われています。この場合は、ウオーキングなどの有酸素運動や腹式呼吸などのリラックスタイムを設けると良いでしょう。

 

肝機能

肝機能の数値が高いという事は、多くの肝細胞が壊れているという事です。肝臓は痛みを感じる神経が通っていないので、少々無理をしても黙ってもくもくと仕事をします。

一部の肝細胞が壊れても、全体の仕事量が変わらなければ残された他の肝細胞の仕事が増え、肝臓は機能し続ける事ができます。そして、オーバーワークになり更に肝細胞が壊れると再生したばかりの肝細胞もすぐに働く事になり、それが肝硬変や肝がんとなるメカニズムとなります。

この肝臓の仕組みが「沈黙の臓器」と呼ばれる所以です。だからこそ肝機能検査で肝臓の状態を知る事が大切なのです。 

腎機能

腎臓は脳や心臓、眼底と同じく血管が細いため、血圧の影響を受けやすいです。高血圧は腎機能低下の最大の危険因子であり、脱水、肥満、糖尿病も腎機能の低下に繋がります。

食事では高血圧同様に塩分を6g以下に抑える事と、腎臓に負担をかけるタンパク質を処理する段階で出る老廃物を増やさないように、食事からのタンパク質の摂取を減らす事が大切です。

実際の食事量は医師の指示に従うようにして下さい。

 

健康診断の結果や再検査などについて更に詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

健康診断で再検査と言われたらどうする?正しい行動はこれ

健康診断の結果を未来に生かす方法

 

 

健康診断の前日準備

食生活や疲れによって健康診断の結果に影響が出ることがわかりました。正確な検査結果を得るために、健康診断の前日は以下の点に注意しましょう。

 

食事

前日の食事内容によって影響が出やすいのが血糖値と中性脂肪の値です。血糖血が高い状態は糖尿病と疑われ、本来不必要な追加検査を行う必要が出てしまいます。中性脂肪もまた、食事の影響を受けやすく食後に高くなります。

そのため、健診機関では前日の夕食はなるべく消化に良い物を食べるように指定される場合があります。健診の前日は21時までに消化の良い食事を済ませておきましょう。健康診断の前日におすすめの消化に良い食事をまとめました。

 

健康診断前日におすすめの食事例

 

【主食】

おかゆ

煮込みうどん

そうめん

そば

 

【主菜】

卵料理

茹でたお肉

煮魚

お鍋

湯豆腐

 

【副菜】

茹で野菜

野菜スープ

 

消化に良い食事のパターンの中から前日に摂る食事を選んでみましょう。卵雑炊や手羽肉のスープなどはタンパク質も補給できて腹持ちも良く、消化に優しいメニューです。ここでラーメンや揚げ物、カレーライスなどのこってりした物を選んでしまうと中性脂肪や血糖値が上がってしまいます。

また、食後のデザートとして楽しみにしているアイスやケーキ、チョコレート、菓子パンなどのスイーツ類も脂質と糖質を多く含むため控えましょう。

 

アルコール

前日はアルコールの摂取を控えましょう。肝機能を調べるためのγ-GTPはアルコールや薬剤の影響を受けて上昇します。

 

血中のアルコール濃度が高い状態で健康診断を受けると血糖や尿酸などの検査結果に影響し、正確な検査値が得られなくなります。ちなみに、血中アルコール濃度が低下するまでにかかる時間は350㎖の缶ビールの場合では2~3時間、ハイボールだと3~4時間程度かかると言われています。

アルコールを分解する代謝速度には個人差があり、何時間経過すれば必ずアルコールが抜けるという事は一概には言えません。

検査時間に近くなければ前日にお酒を飲んでもいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、健康診断の前日はお酒を飲むのは控えましょう。もし、うっかりお酒を飲んでしまった場合は健診機関へ申し出ましょう。

健診日前日の21時以降でも水分の摂取は可能とされている事が多いですが、胃カメラを使用する検査の場合は水も制限される事があるので、事前に検査機関に確認しておきましょう。

 

健康診断の前日にコーヒーは?

健康診断の前日にコーヒーを大量に飲むことは、カフェインや糖分、脂肪分によって血糖値や中性脂肪値、心拍数に影響を及ぼす可能性があります。正確な数値を出すため、健康診断の前日から当日にかけてはコーヒーを控えるよう指示されることが一般的です。

特に、検査前の空腹時間中は、水以外の飲み物は避けることが推奨されます。健康診断の内容や医師の指示によっては例外もありますので、事前に確認することが重要です。

 

睡眠

健康診断の前日は十分な睡眠をとり、体調を整えましょう。睡眠不足は体のホルモンバランスや免疫機能に影響を与え、健康診断の結果に悪影響を及ぼす可能性があります。

具体的に、睡眠不足は血圧の上昇や心拍数の変化を引き起こすことがあり、心電図や血圧測定の結果に影響することがあります。また、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、血糖値が上昇する場合も。

質の良い睡眠を得るため、寝る前にゆったりとお風呂に浸かったりヒーリング音楽を聴いたりなど、リラックスできる環境を整えることも効果的です。

健康診断前の食事については、こちらをご覧ください。 

健康診断前や前日は健康的な食事を実践するチャンス!  食事で健康な身体を学ぼう

 

健診と検診の違い

日本語には同じ読み方で意味の違う単語が数多く存在しています。そのひとつが「けんしん」。

「健診」は健康診断の略で、一般的な健康状態を確認するための検査を指します。

「健診」は健康状態を調べるために行われる定期的な検査のことを意味します。病気の早期発見、予防を目的として、健やかに日常生活を送るための全体的なチェックが「健診」です。

血液検査、心電図、尿検査、胸部X線などが一般的な検査内容に含まれており、予防の段階としては「一次予防」に相当します。

一方、「検診」は特定の疾患を早期発見するための検査で、がん検診などが該当します。

予防医学において、二次予防に相当します。 

病気が症状を現す前にその兆候を捉えることを目的とし、がんや生活習慣病、心臓病などの重大な病気の予防や早期発見を目指して定期的に行われます。

以下、それぞれの疾患に合わせた「検診」と「健診」を比較していきます。

「健診」と「検診」の違いについては、こちらをご覧ください。

「健診」と「検診」の違いって何?健やかな毎日に必要な「けんしん」を解説!

胃がん検診

かつて日本人のがんでの死亡原因1位と言われていた胃がん。多量の塩分や喫煙、ピロリ菌の存在などが胃がんのリスクを高めると言われています。

対策型検診では50歳以上の男女を対象に、2年に1回、問診とバリウム検査または内視鏡検査を受けることが可能です。

任意型検診では希望者が任意の間隔で検診を受けることができ、検査の項目は受診する医療機関によって異なります。

 

大腸がん検診

大腸がんは結腸・直腸・肛門に発生するがんであり、近年疾患者数は増加傾向にあると言われています。

運動不足や偏った食事内容、飲酒などが大腸がんの原因ともされ、腫瘍性大腸炎を長期間患うと大腸がんのリスクを上げることも。

対策型検診では40歳以上の男女を対象に、1年に1回、問診及び便潜血検査を受けることができます。便潜血検査で異常が見つかった場合、精密検査として内視鏡検査が行われます。

任意型検診では希望者を対象に、任意の間隔で便潜血検査や内視鏡検査など、医療機関が設けている方法での検診を受けることが可能です。

 

肺がん検診

現在、日本人のがんによる死亡者数の1位とされるのが肺がんです。肺細胞の遺伝子が傷つくことでがん化するとされ、最も影響がある習慣としては喫煙があまりにも有名です。 

対策型検診では40歳以上の男女が対象で、1年に1回、問診及び胸部X線検査、年間の喫煙指数が600本以上で50歳以上の人には喀痰細胞診検査が行われます。

任意型検診では希望者に対し、任意の間隔で胸部X線、胸部CT、呼吸機能検査など、受診する医療機関の定めた方法での検診を受けることが可能です。

 

乳がん検診

女性特有のがんとして知られる乳がんですが、男性にも発生します。

早期発見ができれば完治しやすいと言われます。

 

乳がんの発生する原因は未だ特定されていないとされますが、家族のなかで疾患者がいる場合や、飲酒習慣、閉経年齢が遅いなどといったさまざまな理由が乳がんの要因として考えられています。

原因が特定されていないがんだからこそ、定期的な検診を心掛けましょう。

乳がんの対策型検診は40歳以上の女性が対象で、2年に1回の間隔において、問診及び乳房のX線検査(マンモグラフィ)が行われます

任意型検診は希望者に任意の間隔で、触診や超音波検査など、受診する医療機関の定めた方法での検診を受けることが可能です。

 

子宮頸がん検診

子宮頚部の入り口である外子宮口のあたりに発生することが最も多いとされるがんであり、定期的な検診でがんになる前の段階で見つけることが可能とされます。

子宮頚がんの原因は性交渉によって感染するHPVウイルスとされ、免疫機能により通常は排除されますが、ウイルスが排除されずに長期間感染が続く場合一部がん化されると言われます。

子宮頸がんのワクチンは度々女性に啓発をされていますが、HPVワクチンは男性も接種することが可能です。性交渉によるHPV感染から大切なパートナーを守るために、男性への啓発および意識改革も期待されています。

子宮頸がんの対策型検診では、20歳以上の女性を対象に2年に1回、問診、視診、子宮頚部の細胞診及び内心が行われます

任意型検診では希望者に対し、任意の間隔において細胞診や内診、HPV検査など、受診する医療機関の方法によって受診が可能です。

 

 

あなたの健康を支える「歯」について

これまで健康診断と、健康診断の結果を良くすることをお伝えしてきました。健康診断で良い結果を得るには、普段から健康的な生活をしておく必要があります。

その要と言っても過言ではないのが「歯」。

歯と健康の関係は非常に深く、歯の健康状態は全身の健康に影響を与えます。

まず、虫歯や歯周病があると口腔内に炎症が生じますが、これが全身に広がると糖尿病や心血管疾患のリスクを高めると言われています。

また、歯を失うことで食べ物を十分に噛めなくなり、消化機能が低下したり、栄養バランスが崩れたりする可能性も。特に高齢者では、噛む力の低下が認知症リスクの上昇に関連しているという研究もある程、歯と健康・健康寿命は大きく関わり合っているのです。

「若いから大丈夫」なんて思っていても、すでに歯の影響で身体に支障が出ているかもしれません。たとえばつらい肩こりや頭痛。歯並びや咬み合わせの乱れは姿勢や顎関節に悪影響を及ぼすことがあり、首や肩のこり・片頭痛を引き起こすことも。

歯の健康を保つことは、これらのリスクを軽減し、生活の質を向上させます。定期的な歯科検診と正しい歯磨き習慣が、健康な口腔環境を維持するために不可欠です。

しかし、歯科健診は高校3年生を最後に義務化が終了。大人になってからは「有害な業務に従事する労働者」のみが義務化されています。

人生100年と言われ生涯現役が当たり前になりつつある今、歯を守ることは国家レベルのマターとなっていると言えるでしょう。

そこで今まさに、国によって考えられているのが「歯科健診の義務化」です。

 

歯科健診の義務化

近年、労働者の口腔健康を維持するため、企業における歯科健診の実施が推奨されていますが、実際の実施率は低いとされます。有害な業務に従事する労働者以外は、自ら「そうだ歯医者さんへ行こう!」と行動しない限り、歯科健診を受けない状態にあるのです。歯科健診の重要性を改めて考えてみましょう。

 

歯科健診義務化:有害な業務に従事する労働者への健診

大人になってからの歯科健診で、一部義務化されているのは「有害な業務に従事する労働者」への歯科健診です。この義務化は、2022年から施行された労働安全衛生規則によって全ての事業所に対し義務化されました。

 改定前までは、「有害」の対象となる業務に従事する労働者が常時50人以上の事業所のみに歯科健診は義務化されていました。すなわち、50人以下の事業所には報告義務がないため、2022年の厚生労働省の調査によると50人以下の事業所での歯科健診実施は22.5%のみという低い水準となっていたのです。

(参考;「有害な業務における歯科医師による健康診断等の実施の徹底について」https://www.mhlw.go.jp/content/000760800.pdf

 

こういった背景を受けて、さまざまな化学物質を取り扱う現場において、50人という人数制限を撤廃し、全ての事業所に歯科健診が義務化されることとなりました。

 

対象となる「有害物質」とは?

特定の有害な物質を取り扱う従業員は、先述のとおり歯科健診が義務化されています。

対象者となるのは以下の物質を取り扱う労働者とされます(労働安全衛生法66条)

 

〇塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・弗化水素・⻩りんならびにその他歯や身体に有害な物質のガス・蒸気・粉じんを取扱う業務に常時従事している労働者

 

対象となる場合、雇い入れ時、対象業務への配置換え時、そして6か月に1度の歯科健診が義務化されます。

 

歯科健診義務化:国民皆歯科健診の導入

現段階では限られた業務についている人に対してのみ歯科健診は義務化されています。ではいつから歯科健診が全ての国民に義務化されるのでしょうか?

今後日本政府は2025年を目途に、全ての人を対象とした国民皆歯科健診の導入を目指しています。

費用や周期など、どういった内容になるかは現段階で発表はされていません。しかしながら、企業に勤める「現役世代」の歯の健康を維持する目的として、国が企業に対して歯科健診の義務化を進めていく方針の様子です。

 

なぜ歯科健診が大事なのか?

「8020」と言われるほど、長寿と口内健康とは深い関わりがあります。現段階では、有害な業務に携わっていない限り、長寿を前とした中間の年齢層には歯科健診が義務化されていないことになります。

すなわち、自分で意識しない限り、あるいは症状が出ないかぎり歯科医院へ行かない、ということです。

それを今、国民皆歯科健診義務化として国が推進しているのは、それだけ口内の健康が重要視されているからということでしょう。

では、具体的には歯科健診でどういったメリットがあるのでしょうか。

 

早期発見ができる

歯科健診の義務化は、予防歯科の観点から非常に重要です。

予防歯科とは、歯周病や虫歯といった口内トラブルを未然に防ぐ「予防」を目的とした歯科の考え方を指します。

 

早期発見ができることで、治療が必要になる前に問題を解消できるため、長期的には痛みや負担を軽減し、治療費を抑えることにもつながります。

歯科健診の義務化は個人の健康を守るのはもちろん、医療費の削減や全体的な健康水準の向上にも貢献すると言って過言ではないでしょう。

 

歯は元に戻らない…

風邪をひいたら安静にしていることで身体は元に戻ります。骨折すれば固定しておくことで骨は元に戻ります。しかし歯は、一度悪くなってしまうと自然に元の状態に戻ることはありません。

虫歯が進行して歯が欠けたり、歯の神経が損傷したりする場合、自己修復は不可能であり、適切な治療が必要です。

神経を取った歯はその後血液や栄養が不足することで脆くなりやすく、時間の経過とともに黒っぽく変色する場合もあります。

定期的に歯医者でチェックを受けることで、虫歯や歯周病などのトラブルを早期に発見でき、深刻な問題になる前に治療が行えます。

特に痛みが出る前の段階での診断と治療は、時間的にも金銭的にも負担が少なく済み、長期的な歯の健康を保つための鍵なのです。

 

 

実はとても多い歯周病患者

歯周病はよく聞く病名ではないでしょうか。歯の病気の代表ともいえる歯周病、歯と歯茎の境目に溝ができ、深くなった溝に歯垢が溜まり、歯茎の腫れを招いて更なる溝を深め、歯肉の破壊がされていきます。

この溝は「歯周ポケット」と呼ばれていますが、4mm以上に歯周ポケットを持つ人の割合はなんと全体の47.9%にも上るとのこと。

(参考:厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査の結果(概要)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33814.html

歯周病は軽度だと自覚がないため、身近な病気であるにも関わらず発見が遅れがちな歯の病。放置していると歯が抜ける結果となりかねませんので、自覚はなくても歯の健康チェックは必須なのです。

 

歯科検診義務化の記事については、こちらをご覧ください。

2025年歯科健診義務化?歯と健康について考えてみましょう

 

健康診断を受けて健やかな心身で人生を長く楽しみましょう

人生100年が夢であった時代から考えると、現在の医療や社会福祉サービスがいかに充実しているのかがわかります。しかし同時に、健康寿命が長くあればこそ、楽しく長い人生を満喫できるとも言えるでしょう。

 

日々の生活で健康寿命を削っていないか、ぜひこの機会に考えてみてください。そして定期的な健診を受け、ご自身の心身と向き合うことは、たとえ面倒に感じてもその「ひと手間」で健康寿命を守ることにもなるのです。

あなたとあなたの周囲の人達を守る健康診断。

従業員の健康管理はぜひ弊社へご相談下さい。

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