健康診断前や前日は健康的な食事を実践するチャンス!  食事で健康な身体を学ぼう

健康診断の時期になると憂鬱だと思う方が多いかもしれません。しかし、毎年の健康診断では体重や検査値の変化がわかるため、重大な病気を予防する為に大切です。

健康診断の前日などはどんな食事をとったらどの検値に影響が出るのか、気になる方も多いかと思います。今回のコラムでは、健診に備えて健康になる為の食事を管理栄養士がお伝えします。

 

 

健康診断はなぜ大切なの?

そもそも、なせ私たちは健康診断を受けるのでしょうか。労働安全衛生法では企業は従業員に対して健康管理を行う義務があります、その一環として行われているのが健康診断です。

 

生活習慣病とは1996年頃から使われるようになった用語で、食事や運動、休養、飲酒、喫煙などの生活習慣が深く関わって発症する疾患の総称です。

よく耳にする糖尿病、高血圧、脂質異常症に加え、日本人の死因の上位を占めるがんや脳卒中、心臓病も生活習慣病に含まれます。

健康診断は健診結果から生活習慣病のリスクが高い人を早期に発見し、生活習慣の見直しを行うフォローができるのが大きなメリットです。

 

検査項目一覧はこちらから確認できます!

よくわかる健康診断検査項目の種類別一覧! 定期健康診断の実施時期と対象も解説します

 

健康診断前から気を付ける食事と検査値

私達の身体は食べたものから作られていますので、健康診断前の食事(特に羽目を外した時などは顕著に)は検査値に現れます

健康診断の数日前や前日だけ健康的な食事をしただけでは検査値は良くなりません。健康診断の前日に悪あがきをするのではなく、健診の1ヵ月前から、徐々に気になる数値の食事の見直しを始めていきましょう。

 

ここからは病気との関連がある検査値と、食事の特性についてお答えします。

 

 

肥満度がわかる検査値

BMI

体重(㎏)÷身長(m)²で計算し、肥満度を判定する事ができます。

成長期を過ぎると身長はぐんと伸びませんから、体重を増加させない事がBMIを下げる方法です。

 

肥満はBMI25以上が肥満となりますので、前年のBMI結果が25を超えていた方は再度体重の増加に注意し、家庭での体重測定を日課にしてみましょう。

 

また、肥満は確実に寿命を縮める事がわかってきました。そして、その影響は男性の方が強く受けるそうです。10年前の体重よりも大きな変化がある場合は、今すぐに減量に取り組みましょう。

 

〇体重を健康的に減らすための食生活は、以下のポイントを意識してみて下さい。

・腹8分目を心かげる

・ながら食べを辞め、よく噛み、ゆっくり食べる

・キノコ、野菜、海藻類などの食物繊維や発酵食品を取り入れて便秘を予防する

・6~7時間は睡眠時間を確保する

・スナック菓子や菓子パン、甘いお菓子はやめて、間食をとりたい場合は

 タンパク質、ビタミン、ミネラルの補給に役立つ食べ物を選ぶ

 (ゆで卵、プレーンヨーグルト、玄米フレーク、大豆バーなど)

 

 

糖尿病のリスクがわかる検査値

【血糖値】

 血糖値は血液中に含まれるブドウ糖の濃度の事です。食事の影響を受けやすく、食後に高くなり、食間や夜間は正常域に保たれます

 

【ヘモグロビンA1c

ヘモグロビンA1cとは血液中のヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、過去1~2ヵ月の血液状態を反映している数値です。

ですので、数日前から前日に糖質に気をつけても数値は良くならない特徴があります

 

 

〇血糖値について注意する食事内容

まず、何を食べると血糖値が上がるのかを知り、糖分を多く含む食べ物に注意が必要です。

血糖値が上がりやすい食事は脂肪を多くため込みやすくなり、体重増加にも繋がります白く精製された食品はビタミンやミネラルが取り除かれているため、茶色い主食に切り替える事をおススメします

・食パン →ライ麦パン

・うどん →そば

・白ご飯 →雑穀米や玄米

 

また、普段使っている調味料にも糖質が多いものがありますので、意識できると良いですね

・白砂糖

・みりん

・お好み焼きソース

・焼肉のタレ

など、糖質の多い調味料を控えてみましょう。

 

何気なく口にしているスポーツドリンクや有糖の缶コーヒーやペットボトルのジュース、パックのミルクティーなどの飲み物は糖質の塊りですので、水分補給は水かお茶に切り替えましょう。

 

その他にも、血糖値管理に役立つ食べ方があります。

・食事の最初に野菜やキノコ類などの食物繊維をとる事で血糖値の急上昇を防ぐ 

・お酢は血糖値を下げる効果があり、天然の醸造酢を料理に利用する(ポン酢は醤油などの塩分が加えられているので別物)

・果物に含まれる果糖は血糖値は上がりにくいが肥満になりやすい特徴があるため、健康に良いからと沢山食べないようにする。食べるなら、朝ご飯に頂く

・外食時に麺類を食べたくなっときの救世主はお蕎麦。麺類の中では低カロリーでタンパク質やビタミンB群をはじめとするミネラルも豊富に含まれている。

 

 

血圧の数値

【血圧】

血圧が高くなる原因は食事の塩分にあります。血圧が高めの方はナトリウムの排出を促してくれる食物繊維を多めにとりましょう。急に薄味にすると美味しくないと感じてしまい、続かないものです。

 

〇塩分を減らし、薄い味に慣れていく工夫としては

・レモンや香辛料、薬味を使って味に変化をつける

・だしの風味を効かせる

・何品かあるおかずのうち、1品だけ濃い味付けにしてメリハリをつける

・ラーメン、そば、おでんの汁は残すようにする

 

 

脂質異常にかかわる数値

【中性脂肪】

脂肪は体温の維持など、人にとってとても大切なエネルギー源ですが、高すぎる値は脂肪肝や動脈硬化、糖尿病の原因にもなります。

普段からバターやマーガリン、マヨネーズをたっぷり使ってしまう方は量を減らしてみましょう。また、肉の脂やチャーシューたっぷりのラーメン、大盛りカレーライスなど、単品でランチを済ませてしまう場合は小鉢やトッピングで野菜やタンパク質を追加できる定食メニューやレシピに変更してみましょう。

 

 

お酒で影響がある検査値

【肝機能】

肝臓は解毒やアルコールの分解をしています。

中でもアルコールの影響を受けるのはγ-GTPという数値で、アルコール性肝障害や胆汁の流れが悪くなると数値が上昇します

日頃のストレス発散にお酒を楽しむ程度なら良いですが、週に2日は休肝日を設けてみましょう。肝機能の値が心配な方は、ノンアルコール飲料の力を借りてみましょう。

 

食事面では、アルコールを分解する酵素はタンパク質に多く含まれているので、普段の食事でタンパク質を意識する、お酒のおつまみには低カロリーのお肉や魚、豆腐などを選ぶようにしましょう。

 

健康診断の一週間前の食事の注意点

健康診断の一週間前からは暴飲暴食を避け、睡眠時間をしっかりと確保するようにしましょう。

 

脂っこい食事や過度な飲酒は肝機能を弱め、肝臓の数値が悪くなる危険があります。飲み会や自宅飲みでは飲酒量を減らすなど、少し気を引き締めて過ごしましょう。

 

健康診断の一週間前からは、食物繊維を多めに摂る食生活にシフトする事をオススメします。高血圧の心配のある方は生野菜に多く含まれるカリウムが体内のナトリウムを外に出す働きにより、血圧を下げる効果が期待できます。また、高血糖や肥満の予防にも食物繊維は役に立ちます。

 

中性脂肪が高めの方は食事の前に野菜や海藻などに含まれる食物繊維をとる事で糖や中性脂肪の吸収を抑える効果が期待できます。海藻類やオクラ、長いも、モロヘイヤなどのネバネバ食材に含まれる水溶性食物繊維ときのこ類、イモ類、豆類などに含まれる不溶性食物繊維をバランス良くとる事で腸内環境の改善にも役立ちます。

 

健康診断前は特に主食、主菜、副菜が揃うバランスの良い食事を心がけましょう。タンパク質は肉、魚、大豆、卵など、バリエーションをもたせると体内のアミノ酸バランスが整います。食事に気を付ける生活を一週間だけでも実践すれば、体の変化が実感できるはずです。健康診断の後も、このリズムを崩さずに意識して過ごせると良いですね。

 

健康診断の前日の食事の注意点

前日の食事内容によって影響が出やすいのが血糖値と中性脂肪の値です。血糖血が高い状態は糖尿病と疑われ、本来不必要な追加検査を行う必要が出てしまいます。中性脂肪もまた、食事の影響を受けやすく食後に高くなります。

 

そのため、健診機関では前日の夕食はなるべく消化に良い物を食べるように指定される場合があります。健診の前日は21時までに消化の良い食事を済ませておきましょう。健康診断の前日におすすめの消化に良い食事をまとめました。

 

健康診断前日におすすめの食事例

 

【主食】

おかゆ

煮込みうどん

そうめん

そば

 

【主菜】

卵料理

茹でたお肉

煮魚

お鍋

湯豆腐

 

【副菜】

茹で野菜

野菜スープ

 

消化に良い食事のパターンの中から前日に摂る食事を選んでみましょう。卵雑炊や手羽肉のスープなどはタンパク質も補給できて腹持ちも良く、消化に優しいメニューです。ここでラーメンや揚げ物、カレーライスなどのこってりした物を選んでしまうと中性脂肪や血糖値が上がってしまいます。

 

また、食後のデザートとして楽しみにしているアイスやケーキ、チョコレート、菓子パンなどのスイーツ類も脂質と糖質を多く含むため控えましょう。

 

健康診断前日の飲酒はNG

肝機能を調べるためのγ-GTPはアルコールや薬剤の影響を受けて上昇します。

 

ご存知の方もいると思いますが、健康診断前日の飲酒はNGです。なぜかと言うと、健康診断の結果に悪影響を与えてしまうため、健康診断の前日にお酒を飲む事は禁止されているのです。

 

血中のアルコール濃度が高い状態で健康診断を受けると血糖や尿酸などの検査結果に影響し、正確な検査値が得られなくなります。ちなみに、血中アルコール濃度が低下するまでにかかる時間は350㎖の缶ビールの場合では2~3時間、ハイボールだと3~4時間程度かかると言われています。

 

アルコールを分解する代謝速度には個人差があり、何時間経過すれば必ずアルコールが抜けるという事は一概には言えません。

 

検査時間に近くなければ前日にお酒を飲んでもいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、健康診断の前日はお酒を飲むのは控えましょう。もし、うっかりお酒を飲んでしまった場合は健診機関へ申し出ましょう。

 

健診日前日の21時以降でも水分の摂取は可能とされている事が多いですが、胃カメラを使用する検査の場合は水も制限される事があるので、事前に検査機関に確認しておきましょう。

 

健康診断当日の食事の注意点

健康診断を午前中に受ける時、当日は朝食を摂りません。

 

健康診断の直前に食事をして小腸から栄養分が吸収されると、食後の血液中の糖と中性脂肪の数値が上がります。朝ごはんを食べる事で血糖と中性脂肪が上がると、空腹時の状態に下がるまでに血糖では2時間、中性脂肪では10時間ほどかかると考えられています。これらの事から、健診当日の朝ごはんを食べる事はNGとされています。

 

また、就寝前までや当日の水分補給は水にします。絶食での健康診断では朝ごはんを抜いた状態で水分補給を忘れると夏の暑い日や採血などで気分が悪くなってしまう事態にも繋がりますので、水分補給は行うようにしましょう。普段飲んでいる習慣があるジュースやスポーツドリンク、コーヒーなどの飲料も、血糖値が上がってしまうため健診当日は避けるよう注意が必要です。また、これ位なら良いかと思ってしまうアメやガムも血糖値に反映影響が出るため控えます。

 

〇健診が午後の場合

健診が午後の場合、検査のおよそ8時間前であれば朝食を軽めにとっても良いとされている事もあります。軽めの食事とは、トーストやお粥などです。健診の数値が変わってしまう事態を避けるため、パンにバターやジャムをたっぷり塗ったりする事は避けましょう。健診前の食事について迷った際は、健診機関に事前に確認する事が大切です。

 

また、砂糖入りのコーヒーやフルーツジュースも血糖値に反応してしまうので、健診当日の水分補給は水にします。

 

健康診断前のNG行動

検査値を一時的に良くしようと思って、健康診断の前日などに極端な行動をとっていませんか? 一時的なダイエットや激しい運動は今後の健康に影響が出ます。このようなNG行動が無いか、振り返ってみましょう。

 

極端なダイエット

体重や体脂肪を急に減らしたいからといって、ごはんを食べないダイエットは絶対にNGです。特にタンパク質を減らすと代謝が落ちてもっと痩せにくい身体になり、お米を減らすと便秘の原因になります。

体重が気になる方は、3ヵ月以上続けられるダイエットを心がけましょう。

 

激しい運動

健診の数日前から激しい運動を始めてしまうと、脱水により尿にタンパク質が混ざったり、肝機能の数値が上がる原因となります。

健診前には特に、リラックスして行えるウォーキングを実践しましょう。

 

プロテインをたくさん飲む

忙しくて栄養が摂れないからといって、プロテインを食事替わりにしている方もいるのではないでしょうか? 「身体によさそう」といった自己判断で大量にプロテインを飲んでしまうと脂肪肝の原因になったり、腎尿路系の数値が上がってしまいます。とくに健康診断のの前日は注意しましょう。

 

 

まとめ

いかがでしたか?

日々の忙しさの中で自分の健康の大切さに気を配る事は難しいかもしれません。

しかし、治療にお金や長い年月をかけてしまう前に、気になる検査値だけでも

食事の見直しをしてみて下さい。

少しの積み重ねが大きな結果に表れますので、健康診断の前だけに食べてはダメなものに気を配るのではなく、健康的で身体のためになる生活習慣をぜひ続けてみてくださいね。