カロリーゼロでも健康的に痩せられる?カロリーゼロの真実

ペットボトルの飲料をコップに注ぐ

最近、炭酸飲料やビール、お菓子に至るまでカロリーゼロ、糖質ゼロの表示を食べ物や飲み物でよく目にするようになりました。ジュースやゼリーのようないかにも甘そうな食品がなぜカロリーゼロなのか、不思議に感じた事はありませんか?

 

カロリーゼロの商品を見つけると、ダイエット中や健診前などについつい手に取りたくなりますよね。

 

甘味があるのになぜカロリーが無いのか、カロリーゼロの真実について、管理栄養士がお話します。

 

カロリーゼロの正体

人が生きて行く為にはエネルギーが必要です。エネルギーの単位としてカロリーが用いられます。例えば1日に2000㎉の食品を摂った場合、そのエネルギー量(熱量)は200㎏の水の温度を10℃上げるエネルギーと同等という計算になります。

 

人が生活する上で必ず必要になるカロリーですが、1日に必要なカロリーよりも多くのお菓子やお酒を摂る習慣があると、肥満や糖尿病などの病気を引き起こしてしまいます。逆に1日に必要なカロリーを下回る場合、痩せや低栄養状態が進行します。

 

ゼロカロリーだから安心!と量を気にせずに気軽に飲食すると、甘いものへの依存性が高まる恐れもありますので、ゼロカロリー食品のメリット、デメリットについてしっかりと理解しておきましょう。

 

ダイエットの落とし穴?人工甘味料とは

知られているようで正しい知識が浸透していないのが、成分表示の決まりや人工甘味料についてです。ここでは、成分表示の決まりや人工甘味料について深振りしていきます。

成分表示の決まり

食品に記載されている成分表示を見た事はありますか?

 

今まで食品表示に関する法律は、「食品衛生法」「健康増進法」「JAS法」の3つから表示内容を定めていました。しかし、これは食品を選ぶ消費者や製造者にとってもわかりにくい表示でした。この事から3つをまとめた「食品表示法」という新しい法律が2015年6月から施行され、今までは任意だった栄養成分表示が以下のように義務化されています。

 

①添加物以外の原材料と添加物に分けて表示する

②アレルギー表示は原則、個別表示する

③エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムの表示の義務化

④ナトリウムは食塩相当量として表示する

 

※栄養表示基準では「エネルギー」や「炭水化物」には表示の義務がありますが、「糖質」や「糖類」には表示の義務が無い任意表示項目となります。「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」などの強調表示も食品表示基準により基準が定められています。

 

ゼロカロリー表示はカロリーがゼロではない

「ノンカロリー」「ゼロキロカロリー」などの表示をよく目にしますが、これらは厳密には0では無い場合がある事を知っていますか?

100㎖当たり5㎉未満であれば、カロリーゼロの表示で良い事になっています。例えば500㎖のペットボトル飲料のカロリーが20㎉あったとしても、100㎖当たりでは5㎉未満なので「ノンカロリー」と表示できるのです。0カロリーだからと少量の砂糖を水のように飲んでしまえば、ダイエットには適していない事がわかります。

 

強調表示のカロリーの基準

◎ゼロ、ノン、レス、無

100gで5㎉未満(食品)

100㎖で5㎉未満

 

◎ライト、ダイエット、低、少、ひかえめ

100gで40㎉以下(食品)

100gで20㎉以下(飲料)

 

強調表示の糖質・糖類の基準

◎ゼロ、ノン、レス、無

100gで0.5g未満(食品)

100㎖で0.5g未満(飲料)

 

◎ライト、ダイエット、低、少、ひかえめ

100gで5g以下(食品)

100㎖で2.5g以下(飲料)

 

人工甘味料の種類

甘味料の分類として、糖質(糖類)を含んでいるものを「糖質系甘味料」と呼びます。以下のものがこれに含まれます。

 

糖質系甘味料

・砂糖

・デンプン由来の糖

ブドウ糖、果糖、異性化糖 など

 

・オリゴ糖

フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース など

 

上記の糖質系甘味料のうち、「異性化糖」という糖に注目してみましょう。

 

異性化糖は果糖の含有率によって「ブドウ糖果糖液糖」や「果糖ブドウ糖液」「高果糖液糖」という表示がされる事もあります。異性化糖は砂糖よりも生産コストが低いとうもろこしを原料としています。そのため大量に生産できるのです。なぜ異性化糖が作られるようになったのかと言うと、1960年代に砂糖の輸入が滞った日本で開発され、砂糖よりも甘い甘味料を安く大量生産できる事から世界に広まったとされています。砂糖ではなく異性化糖を使用するメリットの多くは企業側にあります。

 

甘い飲料には特に多く使われているので、毎日飲むと糖尿病や老化を促進するリスクが上がり、極力とりたくない糖分です。子ども用のおやつやジュースを選ぶ際にも、表示をよく見るようにしましょう。

 

また、甘味料には糖質(糖類)を含まない「非糖質系甘味料」も存在し、これらは植物由来の天然甘味料と、甘未成分を化学合成した人工甘味料に大別されます。

 

天然甘味料

・ステビア 

キク科植物であるステビアの葉に含まれる甘未成分を抽出して作られた甘味料で、エネルギーほ糖質と同じだが甘味度が高いため使用料が少量で済むという特徴がある

 

・甘草

マメ科植物である甘草の根に含まれる甘味成分を抽出して作られる甘味料で、甘味度は砂糖の半分程度

 

・人工甘味料

アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリンなど

 

これらはゼロカロリー甘味料として、缶コーヒー、スポーツドリンク、ノンアルコールビール、ジュース、お菓子、梅干し、パン、などの成分表示でよく目にします。人工甘味料は砂糖由来でないため血糖値の上昇や虫歯のリスクを下げるメリットがあります。

 

アスパルテームは砂糖と同じカロリーですが、その他はゼロカロリーです。なぜゼロカロリーなのかというと、人工的に作られた化学合成物質のため人の体はそれらを分解する酵素を持っていないため、体内で利用できないからです。

 

国が安全性を認可した物質ではありますが、体内で異物となり、発がん性物質となる可能性も動物実験では否定できません。人工甘味料は頻度を決めて賢く利用するのか良さそうです。

 

水分補給は基本的にお水で

人の体は1日に約2.5ℓの水分を必要とします。体に取り込む水分量と体外に排泄される水分量はバランスが保たれており、体外には尿、汗、呼気、便として排泄されます。水はカロリーが無いため重要な働きをしていないように思われますが、栄養素や酵素を運ぶ、体温を調節する、細胞内外のイオン濃度を一定に保つなどの重要な役割があります。

 

1日の水分のうち、1~1.5リットルは水から摂るようにします。コーヒーや紅茶を好んで飲む方はそれを水分摂取だと思わず、水を飲む習慣をつけましょう。また、アルコールは脱水作用がありますのでお酒を飲んだ後にも水分補給を忘れないようにしましょう。

 

天然の甘味料を賢く利用しよう

添加物由来ではない甘味料を知り、賢く利用する習慣作りをしていきましょう。

 

・ラカントS

ラカントSとは、羅漢果というウリ科の植物のエキスとトウモロコシの発酵から得られる天然成分、エリスリトールという2つの天然素材のみで作られた自然派甘味料です。カロリーも糖類もゼロといった特徴があります。

 

エリスリトールは自然界に存在する希少糖で、尿と一緒に排出されるので人体に害を与える事はありません。羅漢果エキスも体に悪影響を及ぼす添加物では無いので安心して使用できます。熱に強いため、煮込み料理やお菓子作りにも利用できます。

 

アガベシロップ

アガベとは、アメリカを原産とするリュウゼツラン科に分類される多肉植物です。アガベシロップは白砂糖の約1.5倍の甘さがあるとされ、カロリーは白砂糖より約20%少ないので使う量を減らしてカロリーを抑える事ができます。血糖値の上昇を表すGI値は砂糖で109なのに対し、アガベシロップは21と非常に低いのが特徴です。クセがなくすっきりとした甘さなので、コーヒーや紅茶の入れる砂糖の代わりにもオススメです。

 

はちみつ

はちみつは砂糖よりも甘い果糖を多く含んでいますが、食後の血糖値の上昇が砂糖よりも穏やかで砂糖よりも低カロリーという特徴があります。さらに、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノールなど150種類以上の栄養成分がバランスよく含まれており、疲労回復にも役立ちます。

 

長続きする正しいダイエットのコツ

カロリーゼロのダイエット飲料やお菓子のみでダイエットをするよりも、日々の食事でカロリーが低く栄養価の高い食品を賢く利用し、長期的な健康管理を目指しましょう。

 

ダイエットをする際に意識したいポイント

1.脂質やタンパク質を抜かず、バランスの良い食事を心がける

2.食物繊維が豊富な豆やキノコ、海藻類の頻度を増やす

3.脂肪になりやすい炭水化物は食事の最後に少量食べる

4.朝ごはんを食べて体温を上げる

5.よく噛んで、ながら食べをやめる

 

最も病気になりにくい標準体重の目指し方については、こちらのコラムをご覧下さい。

最も病気になりにくい体重を知っていますか?標準体重を理解して健康を手に入れよう

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管理栄養士オススメ!いつも利用したい低カロリーの優秀食材

①こんにゃく

低カロリー食物繊維が豊富で満腹感があります。こんにゃくいもに含まれる食物繊維のグルコマンナンは腸内でゲル状に変化してコレステロールや脂質などを取り込み、体外に排泄します。糖尿病や脂質異常症の対策にも効果的です。大きく切って噛む回数を増やしましょう。

 

②大豆

別名「畑の肉」と呼ばれる大豆は、その名の通りタンパク質が豊富です。その他にも糖や脂質の代謝にかかわるビタミンB群、腸を健やかに保つ食物繊維、 カルシウムやカリウムといった現代人が不足しがちなミネラルを手軽に摂る事ができます。蒸し大豆や水煮大豆を利用すると毎日の料理に取り入れやすいです。

 

③わかめ(海藻類)

カルシウムやカリウム、鉄などのミネラルを含み、低カロリーです。特に根本近くの「めかぶ」は栄養成分が多く、海藻類特有のぬめりは食物繊維が豊富で整腸作用があります。味噌汁やサラダに利用できる乾燥わかめなどを賢く利用しましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

 

ゼロカロリーならば太らないから沢山食べてもいい!?と感じるゼロカロリー食品ですが、そこに使用される人工甘味料は登場してからまだ歴史は浅く長期的に摂り続ける事へのデメリットがある事を理解し、賢く利用できるといいですね。

 

カロリーにとらわれすぎず、毎日の栄養バランスを意識する事も健康維持やダイエットに不可欠です。まずは気になる検査値を見て見ぬふりをせず、食事を見直して長期的な健康管理をして行きましょう。

 

メタボリックシンドロームの予防や栄養指導を受けたい方は、ライフサポートサービス株式会社にご相談ください。

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執筆者プロフィール~日比野 真里奈~
管理栄養士/健康運動指導士

生活習慣病になる人を減らしたいという思いから管理栄養士を目指す。
病院や高齢者福祉施設で栄養指導や栄養ケアマネジメントの経験を積み、現在は離乳食、食育、
生活習慣病予防、女性の健康の分野で食事から健康をサポートする仕事に従事している。2児の母。