あなたは朝型?それとも夜型?生活リズムを整えるために知っておきたい睡眠パターン

ベッドと鏡と本





朝目が覚めてもスッキリしない…そんな日常を過ごしていませんか?

 

子どもの頃に「良く寝た!」と感じたあのスッキリ感とは縁遠くなってしまったように感じている大人の我々。

「なんだか身体がダルい」「なんだかやる気がでない」「なんだか…」このネガティブなスパイラルは、生活リズムを整えることで補正が期待できます。

生活リズムが乱れる原因や、「クロノタイプ」を知ることでできる生活リズムの改善法や戻す方法、夜勤の方が生活リズムを整えるコツなどをお伝えしていきますのでぜひ参考にしてください。

 

生活リズムとは?

 生活リズムとは、簡単に言えば「日々の生活を規則正しくリズミカルに進めること」を指します。

しかし、朝8時に起きて夜中まで活動して眠るのは夜中2時、これでも「リズミカル」と言えばリズミカルです。

ここで言う生活の「リズム」とは、基本的に「朝型」であることが大前提です。

「日の出と共に起き、日中に行動し、日の入りで身体を休める」このリズムを繰り返すことが、人間の身体が有するホルモンの分泌や消化器系の活動に効果的かつ自然なリズムを保つことができるということです。

起床から就寝までの24時間を、健康的で充実したリズムで過ごすことによって、心地よい生活の調和や、心身を健やかに保つことができます。すなわち、これが「生活リズムを整える」という意味になります。

 

生活リズムが乱れるとどんなことが起こる?

生活リズムが乱れると、毎朝の目覚めがスムーズでなくなるだけではなく、仕事で集中力が途切れやすくなったり、さまざまな体調不良を引き起こしたりと影響が出始めます。詳しくみていきましょう。

自律神経の乱れ

生活リズムが乱れると、自律神経のバランスが崩れやすくなり、さまざまな体調不良へと繋がります。

自律神経とは、体内のさまざまな機能を調節し、バランスを保つ重要な役割を果たす神経システムです。この神経系は、私たちが意識的に制御することができない自動的な機能、すなわち「呼吸」「心拍数」「消化」「体温」などの生理的なプロセスを管理しています。

自律神経は、交感神経と副交感神経という2つの部分から構成されています。交感神経は、ストレスや興奮といった状況下で活動し、心拍数や血圧を上昇させ、エネルギーを放出します。一方、副交感神経は、リラックスや休息状態で活動し、消化や休息に関連する機能を促進します。

睡眠導入時は副交感神経が優位になるのですが、生活リズムが崩れるといつまでも交感神経優位な状態となり、睡眠を取っても浅い眠りに陥る可能性があります。

たとえば、眠る直前までスマホゲームをしている方は、脳が興奮している状態ですので交感神経優位になりやすく、睡眠の質が低下しやすくなります。

 

自律神経のバランスが整っていることで、心身は日々のさまざまな状況に適応し、健康を維持することができます。不規則な生活リズムが原因で、自律神経のバランスが乱れ、体調不良や強いストレス反応が引き起こされることがあるのです。 

乱れてしまった自律神経の整え方やおすすめの食事法は、こちらの記事にて解説しておりますのでぜひ合わせてお読みください。

自律神経はなぜ乱れるの?自律神経を整える方法はこれ

 

 

生活習慣病の危険性

仕事の付き合いで夜遅い時間までお酒を飲んでしまったり、残業続きで夜遅い食事が続いたり、寝不足や食事の偏りなど、身体に鞭うてば打つほど、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の足取りが近付いてきます。

食事や睡眠の時間が不規則になると、先述のとおり自律神経のバランスや体内時計が乱れ、人間に備わっている生理機能が正常に機能しづらくなります。

たとえば、不規則な食事や食べ過ぎ、または食事のタイミングの乱れは、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高める要因であることは、解説不要なほど明らかですよね。

不規則な食事や食べ過ぎは血糖値の急激な上昇を促し、その後急激に下がることによってインスリンの分泌が乱れ、糖尿病の発症リスクが高まるとされます。

もちろん、夜遅い食事が続くと、「胃もたれ」に代表されるように、消化器官への負担が大きいことは、ご経験ある方も多いことでしょう。本来休むべき消化器官が動いていることで、炎症や機能低下を引き起こし、消化器官関連の疾患のリスクを高めてしまうのです。

疾患、とまではいかなくても、その手前で「肥満」「メタボ」の落とし穴も待っています。

一回で取る食事の摂取量が増えたり、夜遅くまで起きていたりすると、身体のエネルギー消費が低下し、脂肪が蓄積しやすくなります。

さらに、睡眠不足は食欲を刺激し、特に高カロリーなジャンクフードなどの過剰摂取につながることもあります。

人によっては、ストレスの発散を甘いもので紛らわせる場合もありますし、寝不足の疲れから甘い物を欲する場合もあります。その結果、肥満のリスクが高まり、そこからさまざまな疾患へと繋がる恐れがあるのです。

 

生活リズムとメンタルヘルス不調の関係性

ストレスは交感神経を優位にさせ、副腎皮質からコルチゾールの分泌を促進します。このコルチゾールは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれ、脈拍や血圧を上げて脳を覚醒させる働きを持っています。

お分かりのとおり、長期に渡るストレス状態はコルチゾールの分泌を促進し続けるため、睡眠の質を低下させます。

同時に、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンや、睡眠に欠かせないメラトニンの分泌が抑制されてしまい、睡眠調節に関わる神経伝達物質のバランスが乱れるのです。

「それは自律神経の話では?」と思った方もいらっしゃるでしょう。そのとおりで、生活リズムの乱れと、自律神経、セロトニン・メラトニン・コルチゾールは全て同じルーティンの中で起こる話です。

 

ところで、体内時計ってなに?

セロトニン・メラトニン・コルチゾールの解説の前に、体内時計について解説します。

生活リズムの乱れは体内時計を狂わせます。体内時計とは、生物が自然界の周期に合わせて行動や生理機能を調整するための内部タイマーのようなものです。人間の場合は約25時間を周期としているため、毎朝一度、太陽光の外部刺激によってリセットされる必要があります。

人間の体内時計は「視交叉上核」という場所にあります。視交叉上核はいわばコントロールセンターのような働きをしており、各機関へ生活のリズムを指示しているのです。

 

メラトニンを理解しよう

メラトニンは、体内時計が夜間に暗さを感知することで分泌される睡眠誘導ホルモンです。体内時計は、環境の明るさや暗さを感知し、その情報を用いてメラトニンの分泌を調節します。明るい環境ではメラトニンの分泌が抑制され、暗くなると増加します。

暗くなればメラトニンが分泌されるなら、生活リズムと関係ないのでは?と思った方、ここに睡眠の大敵「スマホ」が現れます。

スマホやパソコンから出ているブルーライトは、太陽光にも含まれる光です。ブルーライトは本来「体内時計を整える」という人体にとって有益な働きをします。

しかしこの「体内時計を整える」とは「リセット」という意味、つまり「太陽が昇った」=「朝が来た!」と体内時計がリセットされてしまうのです。

眠る直前にブルーライトを視覚的に取り入れると、朝と勘違いした体内時計指令室では、睡眠導入であるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。

メラトニンは睡眠に関係するだけでなく、非常に強い抗酸化力があるのも特筆すべき特徴です。体の酸化を抑え、あらゆる老化を防ぐ効果をメラトニンは司っていると言われると「早く寝よう!」と感じますよね。いつまでも若々しく健康でいるためには、寝る前のスマホ週間を切り離すことが簡単で効果的な方法でもあるのです。

 

セロトニンを理解しよう

「よし、今日から寝る前のスマホはやめてメラトニンをいっぱい出すぞ!」と意気込む前に、セロトニンを理解しましょう。

セロトニンとメラトニンは2つで1つ。なぜなら、メラトニンはセロトニンを原料として分泌されるからです。

メラトニンは夜に分泌されますが、セロトニンは日中に分泌されます。太陽光を浴びることでセロトニンが活性化されます。

セロトニンは精神を安定させ、ストレス耐性を上げる働きを有します。深いリラックスモードになって気分を落ち着かせる働きがあるので、副交感神経優位の状態にさせやすくなるのです。

別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、口角を上げるだけでも分泌の促進が期待できると言われています。昔から「笑う門には福来る」と言いますが、生活リズムが崩れやすい人は意識的に口角を上げてみるのも良いかもしれません。

 

コルチゾールを理解しよう

ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールですが、完全に悪者ではありません。コルチゾールは起床前に増加し始め、血糖値と血圧とを高める働きをします。これにより、朝から活動的に動くことが可能となるのです。

規則正しい生活リズムにおいて、起床時間を決めておくと、その2時間程前からコルチゾールが増加することが分かっています。

ところが、生活リズムが崩れたり、体内時計の狂いによって「まだ寝ている時間」となり、コルチゾールの分泌が抑制されるとどうでしょうか。目が覚めてもボーっとして活動的になれず仕事のパフォーマンスも落ちかねません。

「じゃぁコルチゾールは出ている方が活発で良いじゃない!」とはならないのが物事バランスが大事というところ。

コルチゾールは先ほども少し触れましたが、ストレスと戦ってくれる大切なホルモンです。しかしストレス下において分泌され続けるコルチゾールは、記憶を司る海馬の委縮や、自律神経を乱れさせて不眠にさせるといった側面も持ち合わせます。

バランスよく分泌させて心身を健康に保つには、生活リズムを整えることがとても大切なのです。

 

生活リズムを整えるには?

健やかに毎日を送るには、生活リズムを整えることがとても大切です。「早寝早起きをする!」というだけではなく、疲れにくい身体を作って生活リズムを整えるには、どうすれば良いのでしょうか。今日から簡単に実行できるポイントをお伝えします。

 

太陽の光を浴びる

体内時計のリセットには太陽光が欠かせません。午前中に太陽の光を浴びるようにしましょう。

太陽を浴びることは体内時計のリセット以外にもメリットがあります。

まずはビタミンDの生成。ビタミンDは骨の健康を維持し、免疫機能をサポートしてくれますので、健康維持に大切な要素です。

また、太陽光を浴びることでセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンが増えると、夜に睡眠導入ホルモンであるメラトニン分泌が促進されますので、太陽光を浴びることは生活リズムを整えることにおいてとても重要なことなのです。

ですが、やはり気になるのは「日焼け」。シミの原因にもなるとされる紫外線を浴びるのは、できれば避けたいと思う方も多いことでしょう。

その場合はベランダから手のひらだけで日光浴すれば大丈夫です。手のひらは他の皮膚に比べて日焼けの原因となるメラニン色素が少ないため、日光浴としての効果を維持しながら日焼け予防が可能となります。

 

朝ごはんを食べる

忙しい朝でもしっかりと朝ごはんを食べるように心がけましょう。できる限り一日3食を決まった時間に食べるのが良いとされますが、忙しい社会人にとって同じ時間を守るのは難しい場合が多いですよね。

できるかぎり、朝ごはんは同じ時間にしっかりと食べて一日のエネルギーを確保しましょう。

朝ごはんにはご飯やパンといった炭水化物と、肉や魚といったタンパク質を取るのが理想的とされます。

炭水化物は脳のエネルギー源となり、タンパク質は体温上昇と代謝向上が期待できます。

バランスよく朝ごはんに炭水化物とタンパク質を組み合わせることで、身体が必要なエネルギーを効率的に摂取し、栄養バランスを保ちながら一日をスタートさせられるでしょう。

また、ダイエット中の方も朝ごはんは必須です。詳しくはこちらの記事で解説しておりますのでぜひお読みください。

ダイエットするなら朝ごはんは常識!健康へのメリット・簡単メニューを紹介

運動習慣をつける

「そうですよね運動ですよね」と思いますよね。そうなんです、健やかに心身を保つにはやはり運動は欠かせません。これが、ハードルの高い習慣であることは承知なのですが、健康を考えると軽い運動を習慣づけることはとても大切です。

少しだけ遠回りで歩く距離を伸ばして出勤するとか、軽いストレッチをするとか、1日数回スクワットをするとか、最初の目標設定は低くしておいて、「運動する」習慣を1日のルーティンに組みこんでみましょう。

そこで気にしておいていただきたいのが、「クロノタイプ」です。

 

皆が皆「朝方」ではないことをご存知ですか?

朝に弱い人は「ナマケモノ」といったネガティブなイメージを付けられてきましたが、人間の全てが朝方が基本、とは限らないということが研究において明らかになっています。

睡眠パターンは遺伝子によって決まっており、体内時計をコントロールする時計遺伝子によって、朝型か夜型かが決まると言われています。

 

クロノタイプ朝型

クロノタイプ朝型の人は、早く目覚め、朝に活動的であり、夜よりも朝にパフォーマンスが高まる傾向があります。朝は6時頃までに勝手に目が覚め、仕事は10時頃までがピークでパフォーマンスが良いとされます。

朝型がアクティブですので、定期的な運動を取り入れるなら早朝の散歩や朝ヨガなどが良いでしょう。

 

クロノタイプ夜型

クロノタイプ夜型の人は、夜遅くまで活動的であり、夜更かしを好みます。朝は起床が難しく、8時頃に起きるのが身体にとって楽に感じる傾向とのこと。18時頃から仕事のパフォーマンスが高まるとされ、就寝は1時を越してからが多い傾向にあります。

クロノタイプ夜型の人に早朝散歩をタスク化してもストレスになってしまいます。仕事終わりのジムや、眠る前のストレッチなどが運動習慣として良いでしょう。

 

クロノタイプ中間型

クロノタイプ中間型の人々は、朝型と夜型の特徴を両方持っているとされ、朝型や夜型の人よりも、時刻に関わらずパフォーマンスが安定しているとされます。

目覚ましを使わず起床する場合、朝6時から8時の間が多く、11時から13時くらいが仕事のパフォーマンスが高まるとされます。

クロノタイプ中間型の方は、仕事の合間に軽いストレッチなど取り入れてみましょう。

オフィスで簡単にできる運動不足解消法はこちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ併せてお読みください。

運動不足解消!オフィスでできるグッズ不要の簡単おすすめエクササイズ

 

夜勤の場合はどう整える?

どれだけ生活リズムを整えたくても夜勤がある場合は難しくなります。勤務中に眠くならないように、出勤ギリギリまで眠る人が多いと言われますが、生活リズムを安定させることを考えると「寝溜め」はNG行動とされています。

朝はいつも通りに起きて、可能であれば夜勤中に10分で良いので仮眠を取ることが理想的です。

また、夜勤明けはできるだけ質の高い睡眠を心掛けましょう。眠る前にお腹いっぱいまでご飯を食べたり、アルコールを摂取することは睡眠の質を低下させてしまいます。

ゆっくりとお風呂に浸かって、身体の疲れを取り、アイマスクや遮光カーテンの利用で睡眠の質を高めるようにしましょう。

 

生活リズムを整えて健康的な毎日を!

生活リズムが整うと、心身共に健康的な生活を送ることが期待できます。忙しくて乱れがちな生活リズムですが、寝室の工夫や、日々のルーティンを見直すことで、意識的に良い習慣を取り入れれば、生活リズムは整いやすくなるでしょう。

もちろん、急に毎日規則正しい生活は難しいかもしれません。朝ごはんの時間だけでも規則正しくしてみたり、週に数日は同じ時間に運動してみたり、できることから始めてみてください。