健康経営の取り組み方を具体的に解説! 業務効率を高めるお役立ちガイド

少子高齢化に歯止めが利かない日本の現状では、今後ますます労働力の確保が難しくなると予測ができます。

採用した従業員にはできるだけ長く働き、企業の生産性を上げてもらうために企業ができることは労働環境を整えることではないでしょうか。

誰もが安心して健康的に生活できるため、企業はこれまで以上に働き方改革と健康経営が求められます。そこで、健康経営にはどう取り組めばよいのか、具体的にその取り組み方を解説していきます。

 

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健康経営の取り組み方

 厚生労働省が行った「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職者が前職を離職した理由は「労働条件(賃金以外)がよくなかったから28.2%」が最も高く、次いで「満足のいく仕事内容でなかったから28.4%」となっています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-gaikyo.pdf

この調査結果から、働きにくい労働環境での就業は従業員にとって心身の負荷となることが伺えます。労働人口が減少していくなか、企業としては労働環境を整え人材を確保したいところです。

今後ますます企業成長の鍵となる健康経営ですが「何から始めれば良いかわからない」という経営陣も多いはずです。

ここでは、具体的な取り組み方をお伝えしますので、ぜひ健康経営の第一歩として活用してください。

健康経営の進め方

では具体的に、健康経営の取り組み方について段階別に解説していきます。

 

STEP1:内外への宣言

まずは、健康経営に取り組むことを社内外に発信します。

健康経営の基本方針を企業理念として経営陣が発言することがポイントです。

 

企業がどのように健康経営に取り組むのか、その具体案を明確にしましょう。

加入している健康保険組合に「健康企業宣言」を行うことも効果的です。健康企業宣言の申請が認められると、自治体が定めるインセンティブも受けられます。

どういったインセンティブが受けられるのかはそれぞれの自治体によって異なります。詳しくは経済産業省が一覧を掲載していますので、こちらでご確認ください。

 

経済産業省「健康経営の推進について」

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/211006_kenkokeiei_gaiyo.pdf

 

STEP2:体制を整える

健康経営を行う発言を内外にしたら、次は健康経営を実施運営する体制を整えます。健康経営の専門部署を設置するか、既存の部署で健康経営の運営担当を決めていきましょう。

専門分野で体制を整えるにしても、健康経営運営担当を決めるにしても、担当となる者は健康経営、そして心身の健康に対しての知識、理解が必要となります。そのため、担当者は健康経営に対する研修を受けたり、健康経営アドバイザーの資格を取ったりと専門性を高めるサポートを企業が積極的に行うことも大切です。

STEP3:課題の認識

健康経営の実施にはまず現状の課題を冷静に分析・判断する必要があります。従業員の心身の状態が健康か不健康か、データの確認と分析をして対策を立てていきましょう。

従業員のストレスチェックや健康診断を活用し、実際に従業員は健康的であるのか確認することが必須です。また、労働環境においてもストレッサーとなる環境が横行していないのか冷静な目で判断してください。

長い期間に渡りその企業で就業していると、他からすれば「異様」なことでも「通常」だと認識する「バグ」が発生しやすくなります。長時間労働が明らかであっても「うちではこれが普通」と最初から認知の歪みが発生していてはスタートラインに立つことすらままなりません。

健康経営は企業の生産性を高めるためのものですが、第一に従業員の心身を守るためのものです。心身の健康維持が最重要課題であることを企業一体で認識する必要があります。

STEP4:実行

解決すべき課題が明白になったなら、その課題をクリアしていくために計画を立てましょう。具体的な目標を掲げ、どのように実施していくのかを従業員に提示します。

心身の健康管理には個人レベルでのストレスケアは必須ですが、まずは企業として実施できる内容から提示していきます。

労働環境を改善させるために社内ルールを徹底させたり、健康促進につながる福利厚生を充実させたりと「企業の本気度」を提示することで、従業員に個人レベルでの健康改善を意識させることが期待できます。

 

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健康経営アドバイザーの資格について

企業が健康経営を行う際、適切な普及と実施を促す健康経営のエキスパートが健康経営アドバイザーです。健康経営に携わるチーム作りの際、健康経営アドバイザーの資格取得者がいれば大きな舵取り役となってくれることでしょう。

健康経営アドバイザーの役割

健康経営アドバイザーとは経済産業省が健康経営に関する人材を育成・活用を推進するために創設し、東京商工会議所が請け負った資格制度です。

健康経営を正しく実施するため、企業の現状をしっかりと把握・分析し、企業にあわせた的確な提案をしていく役割を担います。

社内に健康経営アドバイザーがいることは、健康経営の促進はもちろん、企業としてのイメージアップにも繋がります。健康経営アドバイザーが在籍していることを公言することで、企業は健康経営に真摯に取り組んでいることを内外へ広くアピールができるのです。

健康経営アドバイザー資格取得のメリット

健康経営の取り組みには正しい知識と明確なゴールが必要です。世の流れやコンプライアンスという言葉の響きに駆り立てられてただ取り入れてしまっては、取り組みとして機能しません。 

健康経営アドバイザーとなる人は、資格取得のプロセスにおいて健康経営に必要な知識を吸収していきます。その得た知識を現場で活用する重要な羅針盤となるのが健康経営アドバイザーです。

 

バブルの時代に「24時間働けますか?」といったキャッチフレーズがテレビCMで流れていましたが、今は健康ありきで物事を考える時代です。

健康経営アドバイザーの肩書があれば、取引先や顧客に対しての提案が、いかに健康的で世の中に良い動きをもたらすのか説得力を増すことができます。

また、健康経営「エキスパート」アドバイザーの資格を取得すると、東京商工会議所のホームページに名前が掲載され、より高い信頼度を得ることが期待できるでしょう。

健康経営アドバイザー資格の取得方法

経営アドバイザーの資格取得には、まず、経済産業省から委託されている東京商工会議所が開催するオンライン研修を受けます。受講資格は特にありませんので、希望すれば誰でも受講が可能です。

ただし健康経営エキスパートアドバイザーには受講資格が設けられていますので、興味のある方は東京商工会議所のホームページにて確認をしてください。

東京商工会議所:健康経営エキスパートアドバイザー https://www.tokyo-cci.or.jp/kenkokeiei-club/04/

健康経営アドバイザーの資格取得は、申し込みから受講、資格認定に至るまで全てオンラインで行われます。研修を受けた後、オンラインで四肢択一式、10問中7問以上正解すれば、健康経営アドバイザーに認定されます。

健康経営アドバイザーの難易度

健康経営アドバイザーは比較的高い合格率と言われています。ただし健康経営アドバイザーの資格は一度取得すれば終わりではなく、2年毎に更新が必要です。そして、更新の度に新たに受講が必要となります。

健康経営アドバイザーは2016年に誕生した比較的新しい資格です。健康経営への注目度も近年に高まっているため、健康経営の考え方・取り組み方も日進月歩だと言えます。2年の間に大きく講習内容がアップデートされていることも考えられるため、資格更新の際は新たに学び直す気持ちで講習を受けましょう。

健康経営の取り組み実例

健康経営は企業の生産性を高める大きなメリットがありますが、根底は従業員の健康促進です。心身を健やかに保ち、より活躍をしてもらうためにどんなことを導入できるのか、検討できる取り組み実例をいくつかご紹介します。

マッサージサービスの利用

福利厚生の一環として、マッサージサービスを利用する方法です。社内にマッサージルームを併設しマッサージセラピストを招いたり、マッサージの店舗と契約し従業員が割引を受けて通えるようにしたりなど、導入方法はさまざまです。

 

長時間同じ姿勢で業務を行うと、眼精疲労や腰痛、疲れによって業務が非効率的になりかねません。マッサージは少しの時間でも体の凝りを取ることでリフレッシュし、業務効率があがることが期待できます。

休憩室の設置

充実した休憩室を設けることで、従業員の気分転換に繋がります。リフレッシュができることで業務にメリハリがつき、新しいアイデアも生まれやすいと言われます。

また、業務では直接関わりがない人との交流も期待できるため、休憩室はコミュニケーションの場としても発展していきます。

また、休憩室は業務をする場所と切り離された空間であることが理想的です。休憩室から仕事をしている他の社員が見えないように区切ったり、休憩室だけ間接照明にしたりと「ここは休んで良い空間です」と意味づけすることでリフレッシュできる空間となります。

産業医による個別健康指導

毎年の健康診断後に産業保健スタッフが個別面談を全従業員に行うルールを設定している企業があります。

個別に面談をすることで、個人が抱える心身の健康状態を把握し、具体的な改善策の提案ができます。提案を受けた従業員は健康への意識改革がより深くなると期待できる方法です。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2014年に行った「第2回日本人の就業実態に関する総合調査」では、メンタルヘルス不調を発症した後も働き続けられるようにするための希望する改善策に対して、「業務や業務量のへの配慮」が40%以上と最も多い回答数であったものの、10%以上の割合で「産業医や専門担当者による定期的な面談、助言」と回答しています。

個人では心身の不調を感じていても忙しさや恥ずかしさ、直面したくない気持ちもあり受診を拒む人が少なくありません。職場で産業医や産業保健スタッフが定期的に個別面談をする場を設けることで、未然に心身の不調を防ぐことが期待できるのです。

健康経営の取り組みは生産性も企業イメージもアップする

「健康経営」という響きで難しい課題を突き付けられたように感じてしまいますが、実は身近なところからできる取り組みも少なくありません。

業務のムダを省き、長時間労働にならないように帰宅する雰囲気を経営陣から作り出すことは、専門分野のノウハウがなくとも取り組みが可能です。

安全で健康に働きやすい環境を作り出すことは、生産性の向上はもちろん、企業としてのイメージアップに繋がります。まずは健康経営の取り組みの第一歩として、現状の把握から課題を割り出してみましょう。

 

弊社では、企業様の健康経営を積極的にサポートしています。

 

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