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労働者自身の健康を守るために知っておくべき「自己保健義務」とは?

労働者自身の健康を守るために知っておくべき「自己保健義務」とは?
労働安全衛生法では、事業者が労働者の安全と健康を確保するための「安全配慮義務」を定めていますが、同時に労働者自身にも、自身の健康を守るための「自己保健義務」が課せられています。
これは、労働者一人ひとりが自身の健康状態に関心を持ち、事業者と協力して健康を維持・増進していくことを求めるものです。
職場で実施する健康診断における安全配慮義務と自己保健義務についてはこちらの記事でも解説しています
事業者健診における安全配慮義務と自己保健義務とは? | ライフサポートサービス株式会社
労働者が負わなければならない義務
労働安全衛生法 第3条(事業者等の責務)において、 「労働者は、労働災害を防止するため、必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。」 と書かれており、直接的に「自己保健義務」という言葉が明記されているわけではありませんが、この条文は、労働者にも労働災害の防止に関する協力義務があることを示しています。健康管理についても同様に、労働者自身の協力が求められており、労働者は以下の義務を負うとされています。
事業者が行う健康診断を必ず受診すること
事業者が実施する定期健康診断、特殊健康診断、ストレスチェックなどは、労働者の健康状態を把握し、健康障害の早期発見・早期対応のために不可欠です。正当な理由なく拒否することはできません。
健康診断の結果について、事業者が行う保健指導や事後措置に協力すること
健康診断で異常が認められた場合、事業者から保健指導や医師による面接指導を勧められることがあります。これらに積極的に応じ、自身の健康管理に役立てる必要があります。
事業者が定める労働安全衛生に関する規程や指示に従うこと
作業手順や安全衛生に関するルールは、労働者の安全と健康を守るために定められています。これらを遵守し、危険な行為や不安全な状態を避ける義務があります。
自身の健康状態について、事業者に適切に情報提供すること
業務に影響を及ぼす可能性のある健康上の問題(持病、体調不良など)がある場合は、必要に応じて事業者に申告することが求められます。これにより、事業者側が適切な配慮や対応をとることが可能になります。
労働者が具体的に取るべき行動
上記の義務を踏まえ、労働者は日々の業務や生活において、具体的に以下の行動を取ることが推奨されます。
1.定期健康診断は必ず受診しましょう
- 年に一度の定期健康診断はもちろん、特定の業務に従事している場合は特殊健康診断も忘れずに受診してください。
- 健診の予約や日程調整には積極的に協力しましょう。
2.健康診断の結果に真摯に向き合いましょう
- 結果に異常があった場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。
- 事業者から保健指導や面接指導の機会が提供されたら、積極的に活用し、自身の健康課題の改善に取り組みましょう。
3.体調に異変を感じたら、すぐに報告・相談しましょう
- 業務中に体調が悪くなった場合や、健康上の不安がある場合は、我慢せずに上司や産業保健スタッフに相談しましょう。
- 必要に応じて、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
4.ストレスチェックを積極的に活用しましょう
- 自身のストレス状態を把握し、必要に応じて医師による面接指導を受けるなど、メンタルヘルスケアに努めましょう。
5.安全衛生に関するルールを遵守しましょう
- 保護具の着用、作業手順の厳守など、事業者から指示された安全衛生に関する事項は必ず守りましょう。
- 危険な状態を発見した場合は、速やかに事業者に報告しましょう。
6.日常生活における健康管理に努めましょう
- バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。
- 喫煙や過度な飲酒は控え、健康的な生活習慣を維持しましょう。
まとめ
労働者の自己保健義務は、単に義務として課せられるだけでなく、あなた自身の健康と安全を守るための重要な権利であり、責任でもあります。
事業者と労働者が一体となって健康増進に取り組むことで、より安全で働きやすい職場環境が実現されます。