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定期健康診断の「項目省略」を年齢だけで一律に決めていませんか? 正しいルールと注意点

企業の人事・労務担当者の皆様、従業員の定期健康診断の準備はお進みでしょうか。 私たちのような巡回健診を実施する医療機関には、企業様から「35歳を除く40歳未満の従業員は、血液検査や心電図を省略した簡易コースで一律に申し込んでよいですか?」というご質問をよくいただきます。
結論から申し上げますと、会社側(医師でない者)の判断で、年齢等の条件により一律に検査項目を省略することは認められていません。
今回は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断における「検査項目の省略」の正しいルールについて、厚生労働省の通達も交えて詳しく解説します。
「医師が必要でないと認めるとき」の正しい解釈
労働安全衛生規則第44条第2項において、定期健康診断の一部項目(血液検査、心電図検査、胸部エックス線検査など)は、厚生労働大臣が定める基準に基づき「医師が必要でないと認めるとき」には省略することができると規定されています。
ここで多くの企業様が誤解されがちなのが、「40歳未満(35歳を除く)であれば、自動的に省略できる」という認識です。
| 省略が検討されやすい代表的な検査項目 | 対象年齢の目安(※これだけで省略は不可) |
| 血液検査(貧血・肝機能・血脂質・血糖) | 40歳未満(35歳を除く) |
| 心電図検査 | 40歳未満(35歳を除く) |
| 胸部エックス線検査 | 40歳未満の非該当者(20・25・30・35歳を除く) |
上記の年齢条件を満たしていても、最終的に省略の可否を決めるのは「個々の労働者を診た医師」でなければなりません。
厚生労働省の通達による明確な見解
この「医師の判断」については、厚生労働省から非常に重要な通達が出されています。
【平成29年8月4日 基発0804第4号】(一部抜粋・要約) 一部においては、血液検査等の省略の判断を医師でない者が一律に行うなど、適切に省略の判断が行われていないことが懸念される。 血糖検査、貧血検査等を省略する場合の判断は、一律な省略ではなく、経時的な変化や自他覚症状を勘案するなどにより、個々の労働者ごとに医師が省略が可能であると認める場合においてのみ可能であること。
つまり、以下のような運用は不適切(法令違反の恐れ)とみなされます。
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NG例: 人事部が「34歳以下の若手は全員、血液検査なしのAコースで予約しよう」と一律に決めること。
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NG例: 本人が「血を抜かれるのが嫌だから、血液検査はキャンセルで」と自己判断で省略すること。
経年での健康診断結果の変化や、日頃の自覚症状・他覚症状などを総合的に医師が確認したうえで、「この従業員は今年は血液検査を省略しても問題ない」と個別に判断して初めて、省略が成立するのです。
企業はどう対応すべきか?
では、実務上どのように健診の手配を進めればよいのでしょうか。
原則として「法定項目すべて」を実施する
最も安全かつ、従業員の健康管理に寄与するのは、年齢等で省略を行わず、全員に法定項目をフルで受診していただくことです。若年層であっても生活習慣病のリスクを早期発見できるメリットがあります。
産業医に事前の省略判断を依頼する
どうしても一部の項目を省略したい場合、受診前に自社の産業医へ従業員ごとの過去のデータや問診票などを提出し、「誰の、どの項目を省略してよいか」を個別に判定してもらう必要があります。
【注意】健診機関の医師による「当日の判断」は原則困難です
事前の判定が済んでいない場合、「健診当日に健診機関の担当医師が判断すればよい」と思われるかもしれません。しかし、健診機関の医師は、個々の従業員の日頃の勤務状況や担当業務、詳細な過去の健康状態(経年変化)を把握していません。限られた時間の問診のみで省略の可否を適切に判断することは非常に困難です。そのため、自社の産業医等による事前の個別判断ができない場合は、安全を期して「省略せずに全法定項目を受診する」ことを強く推奨いたします。
まとめ
健康診断の目的は、単に法令を遵守することではなく、従業員の皆様の健康障害を未然に防ぐことです。
「コスト削減」や「時間短縮」を理由に、会社主導で一律に検査を省くことは控えましょう。
当社の巡回健診では、企業の皆様が法令を正しく遵守しながら、スムーズかつ有意義な健康診断を実施できるようサポートしております。
健診項目の設定や運用についてご不安な点があれば、お気軽に当社の渉外担当までご相談ください。

