ギグエコノミーの可能性!企業にとってギグエコノミーのメリットデメリットを解説

パソコンとスマホを持つ手





仕事に対する価値観の多様化とともに、さまざまなワーキングスタイルも定着しつつあります。ギグエコノミーもその1つであり、この数年で急激に増加している働き方です。

今回はギグエコノミーについて解説をしていきます。

 

ギグエコノミーとは? 

ギグエコノミーとは、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方の概念です。

音楽好きな方は「ギグ」というとライブの印象があるのではないでしょうか。ギグエコノミーのギグも、ライブのギグが語源です。

ミュージシャン同士がライブ会場でその場限りのセッションをすることを「ギグ」と呼びます。この「一度きり」が転じて、単発の仕事を請け負う働き方をギグエコノミー、単発で働く人を「ギグワーカー」と呼ぶようになりました。

 ギグエコノミーはあまり馴染みがないように感じる人もいるかも知れません。しかし「アプリで料理を頼んだら配達してくるシステム」と言えば、ピンとくるのではないでしょうか。

「単発の仕事を空き時間に」という働き方がギグエコノミーの意味となります。

 

日雇いとの違い

「単発の仕事」という響きから、ここで1つ疑問が生まれます。「その働き方は日雇いではないのか?」ということです。

確かに、その1日だけの仕事ですから日雇いのように感じます。ですがギグエコノミー(ギグワーク)と日雇いは、働き方そのものが違います。

日雇いは、1日単位での「労働契約」を結び企業の直雇用となります。対してギグエコノミーで働く労働者は直雇用ではなく、そのプロジェクト単発での「請負」です。したがって、数分から数時間単位での仕事が発生します。

 

ギグエコノミーのメリット・デメリット

ギグエコノミーの拡大は新型コロナウイルスが影響していると言われています。つい最近のニュースで終身雇用などの常識を見直すといった「骨太方針」が報道されたところですので、これからも新たな働き方は増加していくことでしょう。

 

では企業からみて、ギグエコノミーにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

 

メリット:固定コストの削減

ギグエコノミーで働くギグワーカーは、直雇用ではなく「業務委託」になります。従って、従業員の雇用で発生する人件費や福利厚生の費用といった固定コストを削減することが可能です。

少子高齢化が進み労働力の確保が困難になっている現在、従業員はより長く健康的に働いてもらうことが企業力の安定に繋がります。そのためには福利厚生の充実や給与額の見直しなど、コストがかかることを避けられません。 

従来であれば「直雇用」が必要であった労働を、ギグワーカーに振り分けられるとするならば、大幅なコスト削減が実現します。

 

メリット:即戦力の確保

ギグワーカーの強みはその人が持っている「スキル」です。企業とのマッチングはそのスキルですので、即戦力の確保が可能になります。

企業の担当者の中には、せっかく育てた新人が離職する、というとても悲しい経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。丁寧なオンボーディングを行う従業員の労働力に対して、その新人が何等かの理由で定着しなかったその切なさは…本当に言い表せません。

しかし、ギグワーカーであれば「今頼めば出来上がったスキルで仕事をしてくれる」というメリットがあります。プロ同士で業務を行っていくことになるので、時短で即戦力を確保できるのがギグエコノミーの強みでしょう。

 

デメリット:品質保持の難しさ

ギグエコノミーの問題点の一つに、ネット上で紹介されているスキルと実際のスキルとの乖離が挙げられます。受注をするためにスキルを大きく広げてしまい、実際には低クオリティの仕上がりになる可能性は否定できません。

また、海外の例ですが、名義貸しで受注し実際の業務は別の人という新たな請負が発生していたケースもあるとのことです。

ギグエコノミーを活用するのであれば、自社のものとして扱っても問題のないクオリティになるように、細密なディレクションは必要となるでしょう。

 

デメリット:責任の所存

ギグエコノミーで働く人は、企業に雇用されて仕事を行うわけではありません。企業がギグワーカーの進捗を管理するのではなく、ギグワーカーの管理能力や責任感によって納品まで仕事が行われます。

基本的に、ギグワーカーに発注した仕事の責任の所存は、その仕事を請け負ったギグワーカーにあります。

 

しかしながら、インターネットを介して受発注を行うギグエコノミーでは、先ほどの海外の例のように、極端な話ですが実際に仕事をする人が全くの別人であってもまかり通る可能性があるのです。

その場合、責任の所在はとてもあいまいですが、受発注の際に責任の所在を明らかにさせる対策を講じる必要はあるでしょう。

 

ギグエコノミー導入の前に整えておくべきこと

ギグエコノミーはますます、活用ができるように法整備も合わせて整っていくことが予想されます。企業がギグエコノミーをうまく活用するには、どんな導入準備を進めていけばよいのでしょうか。

 

ICT化

ギグエコノミーを活用するにはICT化を避けられません。ギグワーカーとのやりとりはインターネットを通じて行うので、ICT化でコミュニケーションツールを活用していくように整えておきましょう。

 

ギグエコノミーに限らず、ICT化は業務改善に大きな役割を担います。たとえば、スマートフォンを内線化できるようにすれば、社内のみならず顧客や取引先とのサービス向上に繋がることでしょう。

一方で、従来のやり方を変革するときは必ずと言っても良いほど、使いこなせない従業員から不平が出てくるものです。また、強引な導入や、急な変革は今いる大事な戦力のモチベーションを低下してしまう事態を起こしかねません。そのため、事前に指針を示すことや、導入後に十分なサポートをすることが必須となります。

 

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの能力やスキルを一元に管理し、そのデータを活用しながら育成・評価・配置等組織運営に活用する手法のことです。

タレントマネジメントにより、企業の目標を達成するための「適切な配置」が効率よく行われる可能性が高まります。これまで自分の才能が埋もれてしまっていた従業員も、適切な配置によりモチベーションが上がり、生産性の向上も期待できるでしょう。

タレントマネジメントにより、現在の配置ではそのタレント=才能を発揮しきれていない従業員を、スキルを発揮できる適切な配置で活用できるようになります。これにより、ギグワーカーが本当に必要な部分が可視化されていくのです。

ただしタレントマネジメントは即効性のあるソリューションではありません。従業員の才能や能力を管理するには中長期的な視点が求められます。タレントマネジメントは、ギグエコノミー導入の前段階として、適切な人材活用及び従業員エンゲージメントの上昇を目的に導入するのも良いでしょう。

従業員エンゲージメントに関してはこちらのコラムをお読みください。

従業員エンゲージメントとは?混同しやすいワークエンゲージメントとの違いも解説

業務の細分化

ギグエコノミーが大きな役割を担うのは、小さな仕事であることがほとんどです。企業の目標を細分化していき、それに伴う業務も細分化していくことで、どの業務をギグワーカーに担ってもらうかを明確にすることができます。

たとえば「企画書」の作成を極端に細分化せずに考えると、企画書ができているかどうか、の二択となります。これを細分化していくと、作図・文章作成・画像編集など、タスクそのものが多く振り分けられていきます。このうち、ギグワーカーに画像編集だけ依頼しよう、と言った見える化が、企画書を担当する従業員の業務とストレス軽減へと繋がるのです。

しかし業務を細分化するには、細分化された業務を管理する新たなタスクも生まれるということです。タスク管理ツールやアプリの使用といった業務の細分化に伴って新たに導入するシステムも必要になります。

 

プラットフォームサイトへの登録

ギグエコノミーを仲介するプラットフォームは充実してきています。数年前までは、インターネットを通じて単発の仕事を受発注するには現在では老舗となったプラットフォーム数個くらいでした。

現在ではそれぞれ「強み」や「専門性」に特化したプラットフォームもあり、企業とギグワーカーの間でミスマッチを防ぐことができるようになってきました。

選択肢が増えるということは、それだけ利用するギグワーカーも増えたということです。企業側は求めるスキルの水準を明確にしておくこと、そして登録するプラットフォームの強みを把握しておくことも大切でしょう。

 

法の把握

ギグエコノミーのほとんどの場合、企業とギグワーカーは業務委託契約を締結します。 

現段階において、ギグエコノミーに対する法整備は十分に進んでいません。そのため、責任の所在があいまいとなりやすく、ギグワーカー・仕事を受発注するプラットフォームサイト・企業の間で、トラブルの責任の所存が宙に浮く可能性も否定できません。

フリーランス新法が成立したことを受け、今後、ギグワーカーを含めたフリーランスに関する法整備は進んでいくことでしょう。企業は労働やフリーランス・ギグワークに関する法をしっかりとアップデートしていくことが大切です。

 

労働の新たな選択肢にギグエコノミーを

ギグエコノミーはまだ「完成」したものではありません。プラットフォームや法整備も含め、これからまだ改善されるべき部分は多々あります。

また、ギグエコノミーが社会的に新たな貧困問題を招くといったネガティブな視点があることも否定できません。

しかしながら、深刻化する労働者不足と価値観の多様化において、ギグエコノミーが企業と労働者にとって一般的な選択肢になることはそう遠い未来でもないのです。

誰もが望む働き方を実現するために、ギグエコノミーはこれから重要な役割を担っていくのではないでしょうか。

ギグエコノミーを活用すれば、今いる従業員の業務負担を減らし、長時間労働の是正や最終的には心身の健康促進、健康経営へと繋がっていきます。

弊社では、企業様の健康経営を積極的にサポートしています。

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