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法人の健康診断費用は経費になる?節税のポイントをチェック

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企業が従業員の健康管理を行う上で欠かせない健康診断。 しかし、その費用を経費として計上できるのか、どのような条件を満たす必要があるのか、疑問に思う総務担当者の方も多いのではないでしょうか?

特に、法人の場合、福利厚生費や医療費といった勘定科目の適用範囲を理解し、適切な仕訳を行うことが重要です。 また、税務上の観点からは消費税の扱いや人間ドック・追加検査費用の処理方法にも注意が必要です。

そこで本記事では、健康診断の費用を経費として計上するための条件や、適切な仕訳・税務上のポイントについて、詳しく解説します。

健康診断の費用は経費にできる?基本ルールを確認しよう

健康診断費用の会計上の扱い

法人が従業員の健康診断を実施する場合、その費用は企業の経費として計上することが可能です。 企業が負担する健康診断費用は、福利厚生費として計上するのが一般的ですが、場合によっては医療費として取り扱われることもあります。

適切な仕訳を行うためには、どのような条件を満たせば福利厚生費になるのか、また医療費との違いを理解しておくことが重要です。

福利厚生費として計上する条件

全従業員を対象とすること

特定の役職者や社員のみを対象にした健康診断では、福利厚生費として認められない可能性があります。 会社全体の福利厚生として実施されることが求められます。

企業の業務に直接関連しないこと

企業の業務遂行に必須である診断(例:特定業種で必要な法定健診)は、福利厚生費ではなく「法定福利費」として処理されることがあります。

労働安全衛生法で義務付けられている健康診断であること

労働安全衛生法では、企業に対して定期健康診断を実施する義務があります。 義務として実施する健康診断は、福利厚生費として経費計上が可能です。

個別の医療行為ではないこと

たとえば、人間ドックや追加の精密検査などは、個人の健康状態によるものであり、福利厚生費として計上できないケースがあります。

これらの条件を満たせば、健康診断費用を福利厚生費として計上し、会社の経費として処理することが可能です。

健康診断の費用を仕訳する際の勘定科目

企業が従業員の健康診断を実施する際、その費用を適切に仕訳し、経費として計上することは、税務管理の観点から非常に重要です。

ここでは、企業が負担する健康診断費用の勘定科目の選び方や、福利厚生費・医療費控除の対象となるケースについて詳しく解説します。

企業が負担する健康診断の勘定科目

企業が従業員の健康診断費用を負担する場合、その費用は「福利厚生費」または「医療費」として処理されます。 どの勘定科目を適用するかは、以下の基準によって決まります。

健康診断の種類 勘定科目

労働安全衛生法に基づく法定健康診断(定期健康診断など) 福利厚生費
法定外の任意健康診断(オプション検査、人間ドックなど) 医療費(または給与) 医療費(または給与)
特定の社員向けの特別検査(役員のみ、管理職のみ対象など) 給与(または役員報酬)
会社が補助する従業員の健康診断費用(個人が費用を負担し、会社が一部補助) 福利厚生費 or 給与(課税対象となる可能性あり)

基本的に、労働安全衛生法で義務付けられている健康診断は「福利厚生費」として計上可能です。 一方で、任意の健康診断や特定の従業員だけに適用される健康診断は、医療費や給与として扱われることがあるため、注意が必要です。

福利厚生費として処理するケース

「福利厚生費」は、企業が従業員全員のために負担する費用であり、企業の経費として計上できます。

以下の条件を満たす場合、健康診断費用は福利厚生費として計上可能です。

企業が全従業員を対象に提供していること

特定の社員や役員だけが対象となる健康診断は、福利厚生費として認められません。 「全従業員を対象」とすることが重要なポイントです。

労働安全衛生法に基づく法定健康診断であること

企業は、労働安全衛生法に基づき、以下の健康診断を実施する義務があります。

  • 雇い入れ時の健康診断
  • 定期健康診断(1年に1回)
  • 深夜業従事者の特定健康診断
  • 特殊健康診断(有害業務従事者向け)

全額を会社が負担し、従業員に給与として支払われていないこと

会社が直接医療機関などに支払う場合は福利厚生費として処理可能です。 しかし、従業員に現金で支給する場合は「給与」とみなされ、所得税が課される可能性があります。

医療費(医療費控除)の対象になるケース

健康診断費用が「医療費」として扱われるケースは以下のような場合です。

人間ドックや追加検査費用

定期健康診断の結果、再検査や精密検査が必要となった場合、その費用は「医療費」となります。 会社が負担する場合は、原則として給与として従業員に課税される可能性があります。

特定の役員や従業員のみに実施する健康診断

役員のみ、または一部の従業員に特化した健康診断は、会社の「福利厚生費」として認められず、医療費や給与扱いになることがあります。

従業員個人が負担する健康診断費用

従業員が負担し、会社が一部補助する場合、その金額が「給与」とみなされることがあります。

ただし、医療費控除の対象となる場合もあるため、個人の確定申告で医療費控除を活用できる可能性があります。

 

法人の健康診断費用を経費として適用するポイント

企業が従業員の健康診断を実施する際、その費用を経費として適用するためには税務上のルールを正しく理解することが重要です。 健康診断の種類によって、税務上の扱いが異なるため、適切な仕訳と経費計上を行うことで、企業の負担を最適化し、節税対策にもつながります。

ここでは、健康診断の種類ごとの税務上の取り扱い、企業が健康診断費用を負担する際のメリットについて解説します。

健康診断の種類と税務上の扱い

健康診断には法定健康診断と任意健康診断があり、それぞれ税務上の扱いが異なります。

一般的な健康診断(法定健康診断)

労働安全衛生法に基づき、企業には従業員の健康診断を実施する義務があります。

この法定健康診断には以下の種類があります。

  • 雇入時健康診断(新入社員の採用時)
  • 定期健康診断(常時雇用する従業員を対象に年1回)
  • 深夜業務従事者健康診断(深夜業務を行う従業員対象)
  • 特殊健康診断(有害業務に従事する従業員対象)

これらの健康診断費用は「福利厚生費」として計上できます。
企業が従業員全員を対象に実施する場合、全額損金算入可能です。
従業員の負担がないかたちで実施すれば、所得税の課税対象とはならず、税務上も有利です。

人間ドック・追加検査

人間ドックとは、一般的な健康診断よりも詳しく検査を行い、病気の早期発見を目的とした診断です。 また、定期健康診断の結果、異常が見つかった場合に受ける追加検査もあります。

税務上の扱い

  • 従業員全員が対象であれば、「福利厚生費」として計上可能。
  • 希望者のみが受診する場合や、役員のみ対象の場合は、給与課税の対象となることがある。
  • 追加検査費用については、従業員の業務に関連するものであれば、会社負担として認められるケースも。

人間ドックを会社の健康管理施策の一環として導入することで、経費計上がしやすくなります。 医療費控除の対象となる場合もあるので、従業員側で適用可能か確認するのも重要です。

予防接種やストレスチェック

企業が実施する予防接種(インフルエンザワクチンなど)やストレスチェックも、従業員の健康管理の一環として重要な役割を果たします。

税務上の扱い

■インフルエンザ予防接種
業務に関連する場合(医療機関・介護施設など)は、「福利厚生費」として計上可能です。 一般企業での任意接種の場合は、給与課税の対象となる可能性があります。

■ストレスチェック
労働安全衛生法に基づき、50人以上の事業所で義務付けられているため、「福利厚生費」として処理可能です。

企業の業務特性に応じた対応を行うことで、正しく経費計上できます。
企業内での健康支援施策として組み込むことで、従業員の健康維持にも貢献できます。

健康診断を会社負担にするメリット

企業が健康診断を会社負担で実施することには、税務上のメリットだけでなく、従業員の満足度向上や生産性向上にもつながります。

福利厚生の充実による従業員満足度向上

  • 健康診断の実施は、企業の福利厚生制度の一環として、従業員の安心感を高める。
  • 無料または低コストで受診できることで、従業員の健康管理意識が向上。
  • 企業の魅力が高まり、採用・定着率の向上につながる。

健康経営の観点からの効果

「健康経営」とは、従業員の健康を企業の経営資源と考え、積極的に健康管理に取り組むことを指します。健康診断を経営戦略の一環として導入することで、以下のような効果が期待できます。

  • 従業員の健康状態が改善し、業務効率が向上
  • 病気の早期発見・予防により、欠勤や休職を減少させる。
  • 生産性が向上し、企業全体のパフォーマンス向上につながる。

■医療費負担の軽減

  • 企業が積極的に健康管理を行うことで、将来的な医療費の削減につながる。
  • 予防策を取ることで、企業の社会保険料負担の軽減も可能。

■健康経営優良法人認定を取得

  • 経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」により、企業のブランド価値向上。
  • 取引先や金融機関からの評価向上、企業のPR効果も期待できる。

まとめ

法人が負担する健康診断費用は、一定の条件を満たせば経費として計上可能です。 特に、法定健康診断は「福利厚生費」として計上できるため、適切な仕訳を行うことで企業の負担を軽減できます。

一方で、人間ドックや追加検査費用は、福利厚生費ではなく医療費や給与として処理される可能性があるため、税務処理の際には注意が必要です。 また、予防接種やストレスチェックの費用についても、業務上必要とされるかどうかによって、経費計上できるかどうかが異なります。

企業が健康診断費用を適切に処理することで得られるメリットは以下の通りです。

  • 法定健康診断を「福利厚生費」として計上し、税務上の優遇を受けられる
  • 従業員の健康管理を充実させ、企業の生産性向上につなげる
  • 健康経営の推進によるブランド価値の向上や、優秀な人材の確保
  • 適切な会計処理を行い、税務リスクを回避する

さらに、企業の健康診断をよりスムーズに実施するためには、巡回健診・健康支援サービスの活用もおすすめです。 外部の健康診断サービスを導入することで、従業員の受診率向上や業務負担の軽減が期待できます。 巡回健診・健康支援サービスを活用し、企業の健康管理を強化しませんか?

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