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巡回健診とは?受診率は上がる?施設健診との違いやメリット、デメリットを解説

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巡回健診とは、企業や組織・団体の所在地に医師や看護師などの健診スタッフが直接訪問し、従業員の健康診断(事業所健診)をその場で実施する形式の健診のことです。

最近では、従業員の健康管理の重要性が一層高まっており、従来の「施設健診」だけでなく「巡回健診」の導入を検討する企業も増えてきています。

この記事では、「巡回健診とは何か」という基本から、施設健診との違い、メリット・デメリット、導入時の注意点までご紹介いたします。

巡回健診とは?

巡回健診とは、企業や組織・団体の所在地に医師や看護師などの健診スタッフが直接訪問し、従業員の健康診断をその場で実施する形式の健診です。

従来の健診といえば、受診者が病院や健診センターに出向く「施設健診」が一般的でしたが、巡回健診はその逆で、健診の「会場」が職場(事業所)内に移るのが最大の特徴です。

巡回健診と施設健診との違い

施設健診の場合、個人単位での予約手配や健診施設までの移動の負担が発生するだけでなく、業務時間の調整も必要となり、受診者と企業の双方にとって一定の手間と時間がかかります。

一方、巡回健診は職場内で完結するため、従業員の受診率が向上しやすく、業務の中断時間も最小限に抑えることが可能です。
また、多くの従業員の健診を一度に対応できるため、受診状況が確認しやすくなるなど効率的な健康管理が実現できます。

さらに、巡回健診は厚生労働省が定める「労働安全衛生法」に基づいた法定健診としても対応でき、法令遵守と従業員の健康維持を同時に実現できる選択肢として注目されています。
有機溶剤や特定化学物質を使用したり、粉じん作業などを行う企業では、有機溶剤健診・特定化学物質健診・じん肺健診などの特殊健診を定期健診と同時に受診できることも便利です。

企業がよりスムーズに健康診断を実施したいと考えるなら、施設健診との違いや、自社に適した健診形式をしっかりと比較検討することが重要です。

巡回健診のメリット

職場で完結できる利便性

最大のメリットは、健診が職場で完結する点です。
従業員が外部の健診施設に移動する必要がないため、業務を中断する時間を最小限に抑えられます。
これにより、業務への影響が少なく、働く側にとっても受診しやすい環境が整います。

受診率の向上

施設健診では日程や移動の都合により受診を逃すケースが出がちですが、巡回健診であれば職場での一括対応が可能なため、従業員の受診率を高めやすくなります。
特に1つの拠点(事業所)に多くの従業員がいる企業や、出勤体制が一定している職場には大きな効果が期待できます。

健康経営の第一歩としての有効性

企業における「健康経営」の一環として、従業員の健康管理を重視する流れが広がっています。
巡回健診の導入は、こうした健康経営の実践をスムーズに始めるための第一歩となり得ます。
職場内での健康診断の実施は、従業員に対する健康意識の啓発にもつながります。

総務・人事部門の業務効率化

巡回健診では、従業員がまとめて健診を受診するので、予約手配時の個別調整などが無くなり、健診にかかる担当者の業務工数を削減できます。
特に従業員の多い企業では、日程管理や受診率確認などの事務作業が大きな負担となりがちですが、それらの軽減が期待できます。
また、健診結果や請求書なども一括で受け取れますので、結果報告書の管理や経理処理などの手間も大幅に軽減されます。

費用面でのメリット

巡回健診では、受診する人数が多いほど効率的に健康診断を実施できるため、一人あたりの受診費用が下がる傾向があります。一般的には施設健診と比べて、巡回健診の方が安くなるケースが多いです。

巡回健診のデメリット

巡回健診には多くのメリットがある一方で、導入にあたっては把握しておくべきデメリットや課題も存在します。
総務・人事部門の健康管理担当者として、導入前にこれらのポイントを十分に理解し、事前準備を進めることが重要です。

検査項目や設備に制約がある

巡回健診は健診車(レントゲンバス)や移動式の検査機材を用いて実施されるため、施設健診に比べて実施できる検査項目に制限があります。
たとえば、CT検査や専門的な検査などは対応が難しい場合があり、別途施設での受診が必要になることもあります。

会場設営や日程調整が必要

巡回健診は職場内で実施されるため、健診会場として一定のスペースを確保し、検査ごとに区分けされたレイアウト設計や備品の設置が求められます。
特に会議室や休憩室などの空間を一時的に健診会場として使用する場合、レイアウト変更や使用制限など他部署との調整が発生します。

また、受診人数が多い場合は受診者が一度に集中しないよう受診日時の振り分けをする必要もあり、準備に多少の手間がかかります。

プライバシーへの配慮が必要

職場内で行う健診では、検査中のプライバシー確保が課題となることがあります。
たとえば、問診や採血、身体測定など、個人情報を含むやり取りがあるため、周囲に音が漏れにくい構造やパーテーションの設置など、配慮した会場設計が求められます。

天候や交通事情の影響を受ける可能性

健診車両(レントゲンバス)による巡回健診では、ごく稀に悪天候(大雪や台風など)や交通渋滞によって車両・スタッフの到着が遅れ、開始時間に影響が出る場合もあります。
また、春と秋の繁忙期には複数企業で希望が集中するため、希望する日程での実施が難しいケースもあり、早目のスケジュール調整が推奨されます。

巡回健診の流れ

実際に巡回健診を導入する際には、どのような手順で進行するのかを事前に把握しておくことが重要です。

以下では、一般的な巡回健診の流れを時系列でご紹介します。

1.健診機関との打ち合わせ・契約

まずは、健診機関との打ち合わせを行い、実施内容や健診対象者、会場条件などを確認します。
検査項目や実施人数、実施希望日などを共有し、最適な健診プランを策定します。
必要に応じて、事前に現地の視察やレイアウトの確認が行われることもあります。

2.社内周知・受診予定者リストの提出

健診実施が決定したら、社内への案内や受診予定者の取りまとめを行い、健診機関に受診者予定者のリストを提出し、必要な準備を依頼します。
事前に配布される健診案内資料や問診票などを活用し、従業員に受診内容を周知します。
尿検査や便検査など事前の検体採取が必要な検査がある場合は、検査容器をあらかじめ受診者に配布してください。

3. 会場設営・健診機材の搬入

健診当日には、健診スタッフが会場に到着して機材の搬入と健診会場の設営を行います。
会場には受付・問診・採血・身体計測・視力・聴力などの検査ごとにブースが設けられ、スムーズな導線設計が重要になります。
基本的に胸部や胃部のレントゲン撮影は車両内で行いますので、レントゲン車両の駐車スペースをご用意ください。

プライバシーに配慮した配置やパーテーションの設置もこの段階で実施されます。

4. 健診の実施

従業員は、あらかじめ割り振られた時間に会場を訪れ、順番に各検査を受診します。
受診する検査項目にもよりますが、所要時間は1人あたり20~60分程度が目安です。

5. 結果のフィードバック・報告書の提出

健診終了後、数週間で健診結果がまとめられ、個人ごとに結果通知が配布されます。
企業側には集計された健診データや一覧報告書が提供され、全体の受診状況や健康リスクが把握できます。
また、希望すれば医師や保健師によるアフターフォローや健康相談サービスが提供されることもあります。

このように巡回健診は、計画的な段取りと社内の協力体制が整えば、非常にスムーズに実施可能です。

巡回健診で受診率を上げるには?

従業員の健康維持と法定義務の観点から、健康診断の受診率を向上させることは企業にとって非常に重要です。
特に巡回健診はその利便性から高い受診率が期待されますが、さらに効果を高めるためには、いくつかの工夫と準備が必要です。

スケジュールの柔軟性を確保する

受診率を向上させるためには、従業員が参加しやすい曜日・時間帯に巡回健診を設定することが大切です。
従業員が集まりやすい曜日や時間帯を選び、シフト勤務や繁忙時間を避けた柔軟なスケジュールを組むことで、業務への支障を最小限に抑えながら健診を実施できます。
数百人規模の受診人数が多い事業所では健診実施日を複数回設けて実施しているケースも多くあります。

事前の周知と啓発を徹底する

巡回健診の日程や内容について、社内イントラネットやポスター、メールなどを活用して早めに告知しましょう。
「なぜ健診が必要なのか」「未受診のリスク」などを明確に伝えることで、従業員の健康意識を高め、自発的な参加を促すことができます。

上司や管理職の協力を得る

部門ごとの責任者や上司が積極的に受診を呼びかけることで、部内での受診率が大きく向上します。
リーダー層が率先して受診する姿勢を示すことで、職場全体に「受けて当然」という雰囲気が浸透しやすくなります。

受診者フォローと未受診者へのリマインド

健診前後の名簿管理を丁寧に行い、未受診者には個別に声をかける、または受診の案内を再度行うことで受診もれを防ぐことができます。
健診機関と連携してリマインド体制を構築することも有効です。

健診と福利厚生を連動させる

健診の受診者には、健康グッズの配布やポイント制度など、ちょっとしたインセンティブを設けることでモチベーションを高めることができます。
また、最近増えているのが二次検査への補助制度です。健診結果で二次検査(精密検査)が必要となった場合に、費用を補助したり、出勤認定することで二次検査の受診率も高まり、病気の予防・早期発見につなげることもできます。特に健康経営を重視する企業では、こうした取り組みが社内外の評価にもつながり、認証取得などにも大きく貢献します。

まとめ

巡回健診は、企業や組織・団体の職場に健診スタッフが訪問し、従業員の健康診断を効率的に実施できる非常に有用な手段です。
施設健診との違いとしては、受診場所や準備の手間、受診率の向上といった点が挙げられ、特に中小企業にとっては導入のメリットが大きいといえるでしょう。

一方で、検査内容の制約や会場準備の負担など、事前に確認すべきデメリットも存在します。
そうした点も踏まえ、導入の際にはスケジュール管理や社内の周知体制を整え、健診実施の効果を最大化する取り組みが重要です。

近年では健康経営の一環として、企業全体で従業員の健康を支える動きが求められています。
巡回健診は、その入り口として非常に適した施策であり、企業価値の向上にもつながります。

健診の実施体制に不安がある企業や、よりスムーズな運用を目指す場合は、専用の支援サービスを活用することも一つの選択肢です。

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